漢字シリーズ『熱』
R8.7.30
空母めくサンダルひらめ筋に熱
内田ゆの
どこか醒めた熱どこに行こうか夏
うめやえのきだけ
熱のない会話ハンディ―ファン熱風
梅うめ子
サーモグラフィ空蝉は熱を抱く
吉行直人
空蝉を脱いで余熱に濡れてをる
元野おぺら
鳥の胃につまる毛虫の熱量値
花椰菜
杏子やがて孵化しさうなる熱りかな
ひそか
一葉忌鏡は甘く発熱す
那乃コタス
負馬のしばらく風に逃す熱
ギル
負馬の銜の余熱を拭きにけり
いかちゃん
戦争は過熱バナナの背地性
桜鯛みわ
泰山木咲いてこの世に熱置いて
伊藤柚良
汝を愛す狐火ほどの熱量で
青田奈央
R8.8.7
炎熱や影に押されて夫戻る
水須ぽっぽ
ひらひらと昼の余熱となる金魚
ちべた店長
金魚なら死ぬ熱明け方の微熱
栗平紗江
知恵熱のやうな西日の中にゐる
池之端モルト
明日も暑そう蠍座の尾が熱い
越智空子
停電だし熱帯夜だし霊いるし
江口朔太郎
熱帯夜ねむるちからもないからだ
木ぼこやしき
熱愛の記事よく燃えてさつまいも
蜘蛛野澄香
熱い方の湯は誰もいず今日の月
高橋寅次
気化熱に奪はれ月の蒼くなる
はぐれ杤餅
蟋蟀の匂ひや地熱発電所
麦仙人
熱燗や九州説の分が悪い
⑦パパ
笠智衆いさうな店の燗熱し
彩汀
『天』
さみしさの芯は熱性百合匂ふ
すまいるそら
唯一の熱源として枯野行く
多々良海月
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