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『星月夜』

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  R8.8.28 星月夜二十八階など地上           鈴白菜実 母眠らせ夜食はすうぷ星月夜           村木年子 流産はすつぱいにほひ星月夜           林廉子 匂ひ濃く蜥蜴の骸星月夜           彩雲 星月夜まだ産まれざる牛の脚           河埜スミヰ くるぶしはまづしきくわじつほしづくよ           古賀 帆のやうな短章一つ星月夜           のんきち 星月夜砂丘の端の研究所           ろまねす子 しづもれる地下廃棄物ほしづくよ           冬のおこじょ ほしづくよ千年前は怒る山           すりいぴい 火口湖のみづはしづもり星月夜           みやま千樹 星月夜が湖に産卵しています           一斤染乃 鳥葬りしポポラスそよぐ星月夜           桃山直 シーシャ吸っては星月夜へ吐いて           鳥田政宗 R8.9.4 星月夜今日から知らない人の家           明日ぱらこ 停電戸数一千五百星月夜           みつ豆 星月夜ことばが祈りだった頃           茶々琴子 画家は死を空へ沈める星月夜           青海也緒 星月夜削ぎたる耳を欹てて           小型犬の夫 オカリナの穴は星月夜のたまご           たーとるQ 星月夜渫ふマンタの百の群れ           桜鯛みわ 嘶きは大河と交ひ星月夜           池之端モルト 星月夜象の背中で眠る月           つとむくん あの啼鳥は邪鬼星月夜ですから           江口朔太郎 星月夜めくればただのがらんだう           広島じょーかーず 『天』 ナスカにはゐぬはずの鳥星月夜           仁和田永

『俳句甲子園』(2026)

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R8.8.14 咲くやうに円陣俳句甲子園           一走人 俳句甲子園発熱器官たる我等           北野きのこ 俳句甲子園エースは針のやうに立ち           古瀬まさあき 俳句甲子園鏨の舌で刺す急所           沼野大統領 堂々と震える語尾や俳句甲子園           ほしのり 俳句甲子園出し切るマイクの酸欠           風早杏 磨かれし助詞は守護神俳句甲子園           なしむらなし ひらがなはつよくてきれい俳句甲子園           古賀 俳句甲子園赫は痛みの赫なんです           常幸龍BCAD 俳句甲子園声たふみづを詩にあたへ           藤白真語 修辞とは十色の闘志俳句甲子園           丁鼻トゥエルブ 全方位花鳥風月俳句甲子園           葦屋蛙城 俳句甲子園みな清やかな子規の裔           にゃん R8.8.21 俳句甲子園一斉の挙手迎え撃つ           海色のの 俳句甲子園いま覚醒の一年生           叶安 俳句甲子園ワタナベ君が四人ゐる           或人 俳句甲子園この恋は作中主体           山本先生 反戦句ぶつかる俳句甲子園           平良嘉列乙 母校対好きな句俳句甲子園           宇都宮駿介 引率のガッツ小さく俳句甲子園           さおきち 俳句甲子園かつて次鋒の顧問の眼           小林浮草 俳句甲子園顧問の長き長き礼           麦のパパ 俳句甲子園未完の詩を羽化させむ           津島野イリス 俳句甲子園羽化か発火か沈黙か           熊の谷のまさる 詩は疾うに気体だ俳句甲子園           押見げばげば 『天』 俳句甲子園大街道は風の筒           杏乃みずな 俳句甲子園敗れし夜も詩は生まれ           河埜スミヰ

漢字シリーズ『熱』

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  R8.7.30 空母めくサンダルひらめ筋に熱           内田ゆの どこか醒めた熱どこに行こうか夏           うめやえのきだけ 熱のない会話ハンディ―ファン熱風           梅うめ子 サーモグラフィ空蝉は熱を抱く           吉行直人 空蝉を脱いで余熱に濡れてをる           元野おぺら 鳥の胃につまる毛虫の熱量値           花椰菜 杏子やがて孵化しさうなる熱りかな           ひそか 一葉忌鏡は甘く発熱す           那乃コタス 負馬のしばらく風に逃す熱           ギル 負馬の銜の余熱を拭きにけり           いかちゃん 戦争は過熱バナナの背地性           桜鯛みわ 泰山木咲いてこの世に熱置いて           伊藤柚良 汝を愛す狐火ほどの熱量で           青田奈央 R8.8.7 炎熱や影に押されて夫戻る           水須ぽっぽ ひらひらと昼の余熱となる金魚           ちべた店長 金魚なら死ぬ熱明け方の微熱           栗平紗江 知恵熱のやうな西日の中にゐる           池之端モルト 明日も暑そう蠍座の尾が熱い           越智空子 停電だし熱帯夜だし霊居るし           江口朔太郎 熱帯夜ねむるちからもないからだ           木ぼこやしき 熱愛の記事よく燃えてさつまいも           蜘蛛野澄香 熱い方の湯は誰もゐず今日の月           高橋寅次 気化熱に奪はれ月の蒼くなる           はぐれ杤餅 蟋蟀の匂ひや地熱発電所           麦仙人 熱燗や九州説の分が悪い           ⑦パパ 笠智衆いさうな店の燗熱し           彩汀 『天』 さみしさの芯は熱性百合匂ふ           すまいるそら 唯一の熱源として枯野行く           多々良海月

『腐草蛍となる』(七十二候)

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  R8.7.17 たまゆらに腐草蛍となるにほひ           あみま いつせいに腐草蛍となる浮力           広瀬康 腐草蛍となる沈む瞼にある湿り           井納蒼求 腐草蛍となる吾も皮膚呼吸するらしい           海原夏帆 腐草蛍となるたとへば猫の水晶体           あが野みなも 果実酒にあぶく腐草蛍となる夜更け           柚木みゆき 腐草蛍となるヨギボーが臭い           串だんご 腐草蛍となる詩人の耳の湿度           門前の一草 腐草蛍となる癒せる判決などなし           麦のサワコ 腐草蛍となる土を起こせば父のこゑ           坐花酔月 よく臭ふかつて腐草のほうたるは           髙田祥聖 腐草蛍となる生きられない木のリボン           イサク 腐草蛍となつて樹海を眠らせない           七瀬ゆきこ R8.7.24 みづは息殺し腐草蛍となる           幸田梓弓 微熱めく腐草蛍となる真水           八幡浜うさの 櫂置く音腐草蛍となれる音           黒子 腐草蛍となりけり水漬きし郷           海原帆布 空つぽの水槽へ雨腐草蛍となる           常幸龍BCAD 腐草蛍となる悦にも似たる痛みもて           元野おぺら 虫こぶを灯し腐草は蛍となる           いかちゃん 腐草蛍となるミゲルの墓のガラス玉           風早杏 腐草蛍となるや運河を灯のしづか           みづちみわ 腐草蛍となる橋の名にさみしい由来           泗水ハオ 端にかのおおかみ腐草蛍となる           舞藤ふぁふぁふぁ 九条や腐草蛍となる國に           桜鯛みわ 腐草蛍となる君が代の調べ           城内幸江 『天』 腐草蛍となる雨は静かなホログラム           はぐれ杤餅 なまじめる月よ腐草は蛍へと           岬ぷるうと

一句一遊25周年記念『二十五』

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  R8.7.3 にっちもさっちも二十五番の貸ボート           赤坂みずか 内弟子の二十五人に西瓜切る           なしむらなし 嫁がない協定二十五の聖菓           能瀬野風 遺失物の聖菓湾岸二十五時           三浦海栗 空港に春のみづ飲む二十五時           小野りす 麦茶冷ます二十五時のラジオ           よしとんこ 月きれい校長室の二十五時           きせき 夭折や二十五時なる時鳥           井上さち 着ぶくれ解除し二十五時の授乳           天宮ほたて 夜濯の啜り泣くごと二十五時           石川穴空 二十五時間戦う梅雨の五苓散           一斤染乃 ビールつぐ二十五時からが長い夜勤           阿部八富利 ビール干す二十五針も縫うたんや           佐藤ゆま 二十五番目の月にさみしき名をつけむ           飯村祐知子 花と雪初夢の二十五層目は           元野おぺら R8.7.10 向日葵や片足立ちの二十五秒           栗田すずさん 白百合の成熟といふ25°           青木りんどう 短夜や仰角二十五度に獏           あさのばなな 停学は二十五日目なめくじり           立田鯊夢 二十五まで数へ百足の左足           日土野だんご虫 蛇二十五回曲つたときに死ぬ           コンフィ 二十五回転生したらニシアフリカトカゲモドキ           かくれが 二十五匹のかなぶんのためのタンゴ           理酔蓮 二十五針ほどかと思ふ秋思かな           野地垂木 二十五トンと言つて差支へなき秋思           広島じょーかーず 腐草蛍となる二十五画の欝が鬱           冬のおこじょ 父の通夜終え二十五となるや雪           家守らびすけ 二十五で産んで白桃甘すぎた           小野睦 『天』 二十五年歩いて緑陰がきれい           きつネつき

『仙台虫喰』

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  R8.6.18 仙台虫喰聴くや近づく沢の音           一走人 葉の揺れにあらず仙台虫喰ぞ           鈴白菜実 仙台虫喰やまのしづくとして飛びぬ           水須ぽっぽ 仙台虫喰のこゑより森のはじまりぬ           長谷川水素 せんだいむしくひ水鏡めく森のこゑ           村瀬ふみや 仙台虫喰森は溺れるほど碧い           にゃん 仙台虫喰ちひさく濁るこゑ降らす           彼方ひらく 仙台虫喰五度鳴き耳の感電す           24516 仙台虫喰のこゑは儚き趨光性           広島じょーかーず 仙台虫喰耳はあかるく酔ひはじむ           すまいるそら 仙台虫喰山にいくつの木霊あり           笑笑うさぎ 仙台虫喰あなたは木霊なのでしょう           青野みやび 仙台虫喰りゆんりゆん声を羽化させて           古賀 仙台虫喰天の上澄み吸ふこころ           津島野イリス R8.6.26 耳澄ますほどに遠のく仙台虫喰           みのわっこ 仙台虫喰しののめ色の嘴わつて           かま猫 仙台虫喰眉は鳥海山の白           栗平紗江 囀るは仙台虫喰朝餉に火           天弓 仙台虫喰寺は力士の合宿所           朱鷺9条湯八 仙台虫喰御苑しづかな影多し           川越羽流 仙台虫喰山門すべらかな浅黄           桃山直 千年に収まる寺伝仙台虫喰           常幸龍BCAD 仙台虫喰さざれ石が白い           宵嵐 仙台虫喰樹上にぱらいそはあるか           イサク 『天』 仙台虫喰竹の御紋の宇和島藩           伊予素数 空耳の空ゆ仙台虫喰来           熊の谷のまさる

カタカナシリーズ『マ』

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  R8.6.5 茉莉花の出窓ひかりのマンドリン          津島野イリス 街灯のマリンバパナマ帽に小銭          国東町子 朔太郎忌戀人の弾くマンドリン          小型犬の夫 短夜や暗きバルよりマンドリン          めぐみの樹 マンドリル大いに尿る大暑かな          横縞 離職せり初夏のマーブルチョコレート          ちべた店長 マヨネーズ離婚初日の冷蔵庫          板柿せっか 立葵すつくとマツチ箱の家          立ち漕ぎブランコじゅん ががんぼの厠へマタイ受難曲          亘航希 短日に聴くマーラーは長すぎる          ねこまたぎ イマジンを聴け残雪はまだ光る          錆田水遊 マーカーをフランス領へ引く薄暑          もりさわ マーライオンの口そんな開いてない春          公木正 R8.6.12 マカロンは春の短詩のやうな色          碧西里 ママと言ふ口うららかやパを教ふ          山本先生 排他的明朗女子群アマリリス          あなぐまはる 曼珠沙華ウルトラマンは死にました          一港 西日濃し今日もマクドに棄つる刻          世良日守 炎天をマッチ棒めく詩人来る          大久保加州 マンモグラフィー終えて炎天また炎天          小野更紗 マグダラのマリアのなみだ花茨          竹田むべ 蝌蚪みたりだらだらマグダラのマリア          元野おぺら マトリョーシカの芯に冷房到達す          梅うめ子 まくなぎや喪主のマイクを渡されて          凡鑽 新盆の父の引き出しからマッチ          日土野だんご虫 ジレンマは蝸牛剥ぐとき匂ふ          澤村DAZZA 『天』 マウス百生まれて麦は黄ばむばかり          爪太郎