『夏ぐれ』
R7.7.18
左手に夏ぐれ右手にてぃだの海
となりの天然水
アダンの樹叩いて夏ぐれは海へ
アロイジオ
夏ぐれや珊瑚の海は濁らない
ふなべたま
夏ぐれに昏き芯あり海に穴
常幸龍BCAD
夏ぐれや砂糖黍(ウージ)の丈を騒がせて
山内彩月
夏ぐれの去りて太陽(ティダ)吸ふ赤瓦
沖庭乃剛也
龍を哭かすな夏ぐれの赤瓦
七瀬ゆきこ
横殴る夏ぐれの吐く龍の息
広島じょーかーず
夏ぐれや生まれ変わりたさうな石
北野きのこ
夏ぐれの蝶は骨片より産まれ
あまぶー
夏ぐれの果水牛の尻堅し
みづちみわ
夏ぐれや首里は赤々建つてゐる
楽花生
夏ぐれに濯がるる血の色の錆
凪太
火傷の痕を撫で夏ぐれの唄に酔ふ
クウシンサイ
夏ぐれや壕の鉄扉の火照りなほ
ひそか
夏ぐれの後の土踏み壕へ花
河野しんじゆ
R7.7.25
夏ぐれの海は鉄色離陸まだ
深山むらさき
夏ぐれにえぐられてゐる拡声器
野野あのん
夏ぐれや動かぬ機動隊の黙
おおたけけんいち
トラックの荷台夏ぐれがうるさい
ヒマラヤで平謝り
夏ぐれ浴びてこの土地の人となる
八幡浜うさの
夏ぐれやガジュマルの樹の胎の中
熊の谷のまさる
夏ぐれを逃げて民謡酒場かな
なか鹿の子
夏ぐれや市場に空色の魚
木染湧水
夏ぐれや山羊汁の香を濃くしたる
長谷川水素
血を吸ひし丘へ夏ぐれ降るにほひ
平良嘉列乙
夏ぐれや人を殺してよい正義
蝦夷野ごうがしゃ
夏ぐれやあの崖のこと戦のこと
紫水晶
夏ぐれや私が樹なら咲かない樹
髙田祥聖
『天』
夏ぐれやレリーフの百合ふくらみぬ
巴里乃嬬
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