『雪囲』

 

『雪囲』

R4.12.9

雪囲ぴしりといふて朝の音

          湯屋ゆうや

煮えばなの粥のしめやか雪囲

          さくさく作物

禅寺に粥炊く匂ひ雪囲

          村木年子

長光寺門徒総出の雪囲

          にゃん

住職も如来も眠る雪囲

          鈴木麗門

俯きて眠る農具や雪囲

          詠頃

雪囲いへ音なき宵をさくりさくり

          番人

雪囲して温石のごとき鬱

          トポル

雪囲して羊水の腔となる

          凪太

男来て女の家の雪囲ふ

          山田喜則

出戻りのサチコの噂雪囲

          ちべた店長

置物のやうな大をぢ雪囲

          すりいぴい

雪囲して出稼ぎに行つたきり

          寺尾当卯

明日からは娑婆ぞ飯場の雪囲

          樫の木

R4.12.16

竹と竹鳴くまで絞むる雪囲

          北野きのこ

甘き水溜め込む大樹雪囲

          津島野イリス

朽ちかけの板の混ざりし雪囲

          三月兎

雪囲差し込み板に節二つ

          永田千春

上三段残して今朝の雪囲

          ムラノヒト

五段目の腐食が急所雪囲ひ

          錆田水遊

雪囲五番目の板真新し

          せとみのこ

解くまでは二階暮らしや雪囲

          たなかとうま

友曰く雪垣通り来ればいい

          句楽生

津田んちの雪囲また撮られてら

          長谷川水素

用務員研修其之五雪囲

          富山の露玉

雪囲ひとりでピアノ行くと言ふ

          稲畑とりまる

ゆびぬきの銀のつばめや雪かこひ

          夏雨ちや

雪囲畳の縁を踏まぬ母

          亀田荒太

雪囲明るい星はみな寂し

          坐花酔月

雪囲終へてやマレーシアは晴

          西野誓光

『天』
おしら様おはす暗がり雪囲

          佐藤儒艮

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