漢字シリーズ『土』
R7.6.6
二軍観る土曜の昼の生ビール
西川由野
土ぼこりこつちへ来んな来んな夏
まるかじり
つるはしに土木課③や体育祭
北村崇雄
土曜日の心療内科アロハシャツ
月岡方円
土曜日の白藤受胎告知待つ
天雅
甘つたるい土にあぢさゐみなぶるー
沼野大統領
間引菜になるやつ土に残るやつ
菫久
草を引く土を掴む根見放す根
たかみたかみ
甘藍は一尺の玉土に謝す
高原としなり
汗ぬぐふ濡手拭の端の土
ゆきしろの妻
土替へや蚯蚓の空の裏返る
広島じょーかーず
空蝉の土器色(かはらけいろ)の吐息かな
いかちゃん
土器片を洗ふ生業星流る
理酔蓮
涅槃図の土に微かな無重力
ナノコタス
我が胸は焦土すずらん咲くばかり
凡鑽
毛虫焼く土葬ばかりの紛争地
真喜王
土葬せし勇者の握るアマリリス
青田奈央
R7.6.13
粘土の亀をつやつやにして五月
かや
土曜参観先生はアロハシャツ
のなめの子ファースト
先生のパンプスに土麦茶出す
すずらん
土壁の角ががんぼの行き止まり
あが野みなも
土蛙まなこまるごと哭きにけり
山姥和
吐くやうに糞て土鳩の午は夏
古瀬まさあき
羊水の香や小満の腐葉土は
青井えのこ
胎内のやうなるにほひ滝浄土
押見げばげば
大蟹の片足欠ける浄土かな
碧西里
土佐沖の光や棕櫚は花を吹く
ひそか
野薊や土嚢ほつるる出水後
山田不律
夕焼けの張り付いてゐる土鳩の眼
平良嘉列乙
産土の家げじげじの溢れをり
世良日守
桃咲くや御山の神の土俵入り
みいみ
『天』
土潤溽暑微動だにせぬ鰐の群れ
井納蒼求
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