漢字シリーズ『体』

 

漢字シリーズ『体』

R5.4.28
御神体の小石のまるみ春祭り
          夏湖乃

春の子を抱いて体重引き算す
          梵庸子

ががんぼの体の太らない仕組み
          朱鷺9条湯八

差入れは雑煮天体観測所
          元野おぺら

もうヤケで馬体だけ見て買ふ有馬
          詠頃

体臭を消し満員電車無月
          山内彩月

東京や体は月の穢れのよう
          ツナ好

春惜しむ風よ筑波の女体山
          里山まさを

龍は吼ゆ男体山は金秋ぞ
          原水仙

体幹をひかりの棒としてヨット
          みずな

春の溜息世界の体積くらい
          仁和田永

球体の春の鮮度を求めなさい
          津島野イリス

桜蘂降る心は玻璃の立方体
          井上さち

春愁の立方体に収まらず
          小野更紗

八重桜沸いて光の多面体
          りぷさりす園芸店

文語体なり香港の囀りは
          濃厚エッグタルト
R5.5.5

春愁の上体反らし二時限目
          ちばくん

体操着ぶんぶん蜜蜂がかわいい
          広木登一

さえずりを身体をめぐる酸素とす
          蝦夷野ごうがしゃ

肉体てふ殻割れ春の鳥になる
          伊藤恵美

鳥雲に遺体袋の塩素の香
          電柱

涅槃西風百体鞣す作業場へ
          東京堕天使

解体の家の吐き出す黴の匂い
          多々良海月

解体の老舗朧の伽藍堂
          ヒマラヤ杉

うららかに小気を包む体かな
          門前の一草

人体へ春乗り込んできて濁る
          古瀬まさあき

薔薇の棘握ることかも体罰は
          二重格子

蟲売りに一体何があったのか
          渥美こぶこ

墓石二基ほどか残暑の体積は
          常幸龍BCAD

涅槃図や象も体を折るやうに
          鯨尺

『天』
白桃の虚弱体質気取りかな
          清人


教え(R5.5.4 一句一遊 虎の巻 談)
体寄する母の帰らぬ子よ朧
          たかみたかみ
「体を寄せている母」と誤読されてしまうのではないか?
「体寄す」と終止形できるつもりが「子よ」でも切れるので連体形に。
本来は体を寄せる子としたいが、子の位置が遠すぎておかしいのかも・・・。

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