『正倉院曝涼』
R7.10.10
正倉院曝涼和紙開く音豊なり
松本温布
正倉院曝涼玉虫は陽を恋しがる
水玉
正倉院曝涼雲は聖の肋めく
しばのおはる
正倉院曝涼木の死とは甘し
横縞
曝涼に墨の長吁や正倉院
宇野翔月
しやうさうゐんばくりやう屏風の鳥の毛のそよぐ
音羽凜
正倉院曝涼琵琶を螺鈿の駱駝行く
木ぼこやしき
正倉院曝涼琵琶弾くをとこ琵琶のなか
古賀
正倉院曝涼龍歯てふ薬
ローゼン千津
正倉院曝涼青く冷えたる瑠璃魚
樫の木
正倉院曝涼砥草に磨く瑠璃魚型
津島野イリス
正倉院曝涼遺愛の鏡に夜光貝
山内彩月
正倉院曝涼終には砂になる珊瑚
三水低オサム
正倉院曝涼貝に千年てふ刹那
山本先生
正倉院曝涼影を取り替へる
ギル
R7.10.17
樟脳は十キロ正倉院曝涼
日土野だんご虫
経錦に金のささくれ正倉院曝涼
井納蒼求
正倉院曝涼胡瓶の闇に鳥
板柿せっか
宝物の胡人髭濃し正倉院曝涼
クラウド坂の上
正倉院曝涼螺鈿の鳥の眼濃し
ポコアポコ
正倉院曝涼螺鈿の赤の生々し
たかみたかみ
正倉院曝涼螺鈿の虹の息
月岡方円
正倉院曝涼琵琶を眠らぬ花螺鈿
麦のパパ
正倉院曝涼なみだのかたちして琵琶は
にゃん
正倉院曝涼したたるやうに琵琶の尻
古瀬まさあき
正倉院曝涼神獣鏡唄ふ
富山の露玉
螺鈿鏡に千年のひま正倉院曝涼
七瀬ゆきこ
正倉院曝涼舌に冷たき鏡の名
野野あのん
正倉院曝涼こころって螺鈿
広瀬康
正倉院曝涼ガラムの香の仄か
矢的
『天』
正倉院曝涼はて馬の音船の音
元野おぺら
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