『フリージア』

 

R7.4.25
フリージア空を讃える歌として
         湯屋ゆうや

オカリナは涙のかたちフリージア
         木染湧水

つぎつぎとかをりを灯せフリージア
         郡山の白圭

不機嫌な自分が嫌いフリージア
         彩汀

フリージアひかりは泣いた後のやう
         眩む凡

フリージア涙は一筋がきれい
         髙田祥聖

点滴のひやりとにほふフリージア
         野野あのん

履歴書の余白も履歴フリージア
         いしとせつこ

くすくすと耳打ちのやうフリージア
         飯村祐知子

美術部のバケツのままのフリージア
         采女のぼたん

フリージア香る二階の図工室
         宇都宮駿介

フリージア明るし喜望峰のにほひ
         沼野大統領

フリージア海は大きく濡れてゐる
         理酔蓮

フリージア懐郷病めるほどとなり
         爪太郎

寂しさの底は漏れ出すフリージア
         岬ぷるうと

フリージア供えまだあるか純情
         庭のほたる草

R7.5.2
傘の柄に雨の震へやフリージア
         稲畑とりこ

フリージア今朝は甘酸つぱい鬱だ
         いかちゃん

さいはひはかたてにたりてフリージア
         宮井そら

守られた約束はフリージアになる
         葉村直

フリージアわたしの処方箋として
         主藤充子

フリージア進路希望は天使です
         嶋村らぴ

フリージア振ればころころ鳴るわたし
         桃園ユキチ

カーテンは風の眷属フリージア
         にゃん

風の傷あるらし夜のフリージア
         中島紺

フリージア仔牛に死を教えぬまま
         たーとるQ

フリージア芳し伊豆の海青し
         中岡秀次

フリージアの下に横浜雨の街
         高原としなり

フリージア父死んでより貧しき詩
         伊藤映雪

空也の吐いてをるはフリージアであつたか
         古賀

フリージア空也像には色がない
         熊の谷のまさる

『天』
わたしにも光屈性フリージア
         五味海秀魚

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