『身に入む』
R7.9.12
耳に貝あてて身に入む無音かな
山本先生
身に入むや貝が喰ひたる貝の穴
彼方ひらく
身に入むや砂となりつつ砂の城
常幸龍BCAD
身に入むやさざ波はたださざ波で
ねあるこの5×5
身に入むや浚渫船の掻く汽水
三浦海栗
遠鳴りの身に入む夜や白湯を飲む
津島野イリス
身に入むや深夜ラヂオのみづの音
夏湖乃
身に入むやロシア民謡ラヂオから
庭のほたる草
身に入みて造花のやうに笑ひけり
髙田祥聖
今更に身に入む猿の尻の色
中型犬
身に入みて疲れた色の尿を採る
丁鼻トゥエルブ
身に入むや壁に幽き性器の図
長谷川水素
身に入むやエコーに石の十二粍
はぐれ杤餅
身に入むや百ミクロンの受精卵
ぽおや
身に入みてからだ硝子になりさうで
たーとるQ
身に入みてみな魂の位置違う
元野おぺら
R7.9.19
身に入むやチラシ噴き出すポストたち
未茂李座
二日目で辞めて身に入む帰路である
青居舞
身に入むや眼鏡のつるの当たる耳
千夏乃ありあり
身に入むや一人暮らしが飼ふ一羽
すりいぴい
片しては身に入む部屋の花瓶かな
風のピアノ
身に入むや父の厨の花布巾
せんとう一波
厨房に聞いて身に入むお経かな
木村久草
身に入むや厨の土間の潮湿り
ひそか
身に入むや火が付く前のチッチッチ
宇都宮駿介
身に入むやジジといらふる煙草の灯
満生あをね
身に入むや鳥籠の戸のかたかたと
苫野とまや
身に入むや鳥の形のサキソフォン
古賀
月明り身に入みて身の清くなり
どいつ薔芭
身に入むや漢詩に多く月の歌
藤井天晴
『天』
嘶いて身に入む遠野物語
池之端モルト
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