『早春』
『早春』
R6.2.16
さりさりと風早春の耳洗ふ
常幸龍BCAD
早春や砂は白濁に膨らみて
雪代雨子
早春の優しき層となる砂礫
穂積天玲
板チョコのぱきつと尖つてゐる早春
黒子
早春や彫刻刀のよな朝日
染井つぐみ
パレットに絵具の丘や春淡し
眩む凡
ささやくやうね早春の水彩画
幸田柝の音
早春は色鉛筆の白の香よ
宮井そら
早春のひかり跳ねさせグロッケン
いかちゃん
早春の掃除ロボットまた迷子
めぐみの樹
早春のゲートへ押し込む馬の尻
矢的
早春の水面に映る調教馬
真喜王
視野三百二十度早春の馬
じょいふるとしちゃん
早春の腿に子山羊の頭突きかな
樫の木
ドードーのぺったぺったとくる早春
北野きのこ
R6.2.23
早春や扉ひらいて傾ぐバス
公木正
スターフェリー早春の眠たげな波
陽光樹
耳湿るまで早春の海岸を
水須ぽっぽ
父とゐて早春の海は無口だ
松山帖句
連れ子なる吾を早春として父は
髙田祥聖
早春の木に触れゐたる仮病かな
山本先生
早春の卒塔婆に淡き木のかをり
オキザリス
早春を蹠軋むか無職なる
冬のおこじょ
早春の心に躁鬱の破片
うさの
絞りきられし心早春を注ぐ
青海也緒
やや抗うて早春の点滴は
篠原雨子
早春の寝息のやうなグラシン紙
七瀬ゆきこ
早春のひかりオリーブオイルにも
桜鯛みわ
早春の扉かもめパンの匂ひ
青居舞
早緑の散る早春のパスタかな
碧西里
『天』
早春といふおほいなる鰓こきふ
元野おぺら
R6.2.22
『銀曜日』
早春の雲従へし歩荷かな
痛快
早春に親へ合せる顔がない
でんそ
早春のキムチの匂ふ夜の路地
石手川太郎
早春やカナリア色のリボン買ふ
くらら
早春のポケット銀のスキットル
おかまごはん
早春のひかり絞るや薄濁
摂田屋酵道
早春の振るれば動く墓の石
とべやすこ
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