漢字シリーズ『皿』

『皿』
R5.10.27
手の皿を立夏のみづの溢れけり
          日永田陽光

大皿に餃子溢れて夏来たる
          世良日守

金皿は大人のお皿子供の日
          春海凌

黄(ファン)さんが小骨吐き出す皿溽暑
          樫の木

皿屋敷お菊明日から夏休み
          木村弩凡

原爆忌その日も雨の皿うどん
          わおち

さはやかや小皿と言へど柿右衛門
          彩汀

大皿と自由は厄介檸檬切る
          梅うめ子

花串巻く指に冷ややか皿の糊
          夏湖乃

赤き皿神に奉じて太神楽
          ふなべたたま

縄文の石皿に穴鬼胡桃
          Rx

石皿に優しきへこみ櫟の実
          青木りんどう

土器皿の焦げ跡ざらり豊の秋
          ゆうこ先生

深秋や吸い殻のなき皿へ雨
          大津美

灰皿に雨の満ちより白木槿
          五味海秀魚

R5.11.3
囀りは軽すぎ皿に載りません
          朱鷺9条湯八

紙皿の襞均一に花疲
          ギル

紙皿を飛ばし落下は飛花となる
          いさな歌鈴

山盛りの灰皿春暁の産声
          俳句ファイヤー立志

秋思の男女よ果実の皿真中
          あさひ

失恋を見つむる皿のパセリかな
          栗田すずさん

秋薔薇や皿は内側より割れる
          卓鐘

皿割って円満保っている夜長
          あねご

ふくろふふくろふ 灰皿は鈍器
          いかちゃん

猫皿に虫の右足冬ざるる
          どくだみ茶

ペン皿に切手冷たき書斎かな
          木染湧水

糸瓜忌の水に飢ゑたる絵具皿
          にゃん

教室に啄木鳥皿を投げてやる
          りゅうじ

紙皿は割れない金魚鉢は割れる
          そう

皿螺子の袋詰めする夜長かな
          長月晴日

皿螺子のピッチが合わぬ夜長哉
          山尾政弘

『天』
皿ばかり集めて死んで秋の風
          亀田荒太


教え・・・どう鑑賞するのが、この句にとって幸福だろうか。受け手が句の味わいを広げていく。(R5.11.2  虎の巻 談)
銀曜日
更屋敷のお菊は校長文化祭
          砂山恵子

匙の紅茶皿を汚してゆく秋思
          二重格子

灰皿を洗うて秋思流したり
          岩のじ

紙皿のメダルの軽し敬老日
          なしむらなし

皿洗う独身でいい秋の夜
          広瀬康

灰皿は図書館の外秋暑し
          ふくびきけん

皿割れた裏のコスモス噂した
          にしの知猪子

緑の夜解剖皿を洗ひけり
          彼方ひらく

皿へ団栗歯医者には行きました
          或人

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