『平鰤』

 


『平鰤』

R5.6.23
揚々と舳先は壱岐へ平鰤へ
          佐藤儒艮

平鰤や玄界灘の魚影濃し
          中島容子

平鰤の黄色玄海の灰色
          広木正

甲板を散乱の日や平鰤跳ぶ
          一斤染乃

白日を引く竿平鰤(ひらす)また潜る
          冬のおこじょ

疾られて平鰤のかほ潮のかほ
          まんぷく

平鰤の平手打ち食う甲板長
          トポル

平鰤を逃し千尋はあるといふ
          鈴木麗門

船長は平鰤だよと呟いた
          平良嘉列乙

平鰤や竿に勲の疵加へ
          長谷川水素

平鰤と疑ってて見るうらおもて
          けーい〇

平鰤の平ら言うても然程でも
          凡鑽

ひらまさって顔してる平鰤釣れた
          小型犬

ふてぶてしき平鰤の目やたも重し
          みいみ

平鰤の唇青く捲れけり
          グッドライト

平鰤の黄のりゅんりゅんと光る競り
          にゃん

男性名詞かこの平鰤の噛み心地
          穂積天玲

R5.6.30
海光のただなか平鰤は七キロ
          浅海あさり

三尺の平鰤三十貫の引き
          田島澄子

平鰤の腹は下弦のごと豊か
          常幸龍BCAD

平鰤の真芯へ叩き込む刃物
          古瀬まさあき

研ぎたての刃ぞ平鰤の金を割く
          ぞんぬ

刃のやうに刃をうけいれて平鰤は
          北野きのこ

しほとけてなほさくらいろ平鰤焼く
          伊藤柚良

造られて平鰤の身の角清し
          竹田むべ

平鰤買ふまだ大銀杏結へぬ髪
          篠原そも

平鰤や栄転蹴つた父のこと
          マレット

平鰤こりり栄転といふ名の左遷
          げばげば

給料は減りぬ平鰤うまい町
          板柿せっか

平鰤を提げて火宅の門に入る
          由づる

平鰤や廃材燃やす浜の夜
          主藤充子

『天』
一本の柾目の太き平鰤ぞ
          いかちゃん

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