『夏の果』

 


『夏の果』

R4.8.5

夏の果今風に名を付けるなら

          古瀬まさあき

夏の果ゆふぐれいろの微炭酸

          ありあり

夏の果熟れきつて濃き空の青

          新田ダミアナ

勇気とはオリーブ色だ夏の果  

          里山子

みどりごはまだなつはてのみづのなか

          直

夏の果帝釈天の耳豊か

          澤村DAZZA

人鳥の瞳四角し夏の果

          錆田水遊

クロサイの角に傷あり夏果てぬ

          やまさきゆみ

魚すべて図鑑に戻し夏終わる

          さとけん

夏の果静かに戻る救急車

          打楽器

夏の果最終投擲の助走

          藤色葉菜

巻尺の最後は余白夏の果

          朱鷺9条湯八

顔のなき版画の二人夏の果

          お天気娘

分解のラッパを洗ふ夏の果

          多々良海月

夏果ての手をあやまちのごと洗ふ

          すいよう

R4.8.12

夏の果白衣を吊るす仮眠室

          樫の木

翼竜は固く吊られて夏の果

          稲畑とりこ

夏果ての竜頭がうまく巻けません

          げばげば

漂着の浮球に水夏の果

          みいみ

夏の果艇庫の鍵の黒光り

          ほろよい

それまるで遺言みたい夏の果

          丹波らる

洗濯機の獣の如し夏の果

          藤雪陽

夏果ての雲や湯に溶くこなぐすり

          ひそか

夏の果抗うつ薬は真珠色

          嶋村らぴ

睡眠は死の微塵切り夏の果

          乙華散

水兵の小さきハモニカ夏の果

          あいむ李景

夏の果カティーサークの帆の白し

          藤白真語

百の椅子軋むローマ史夏の果

          小緑ふぇい

『天』

轟轟と湯を吐く夏の果の獅子

          凪太

 

教え・・・

「分解のラッパを洗ふ」とかけて「夏の果」と解く、その心は?

としたところに『取り合わせ』の接着点がある。


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