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漢字シリーズ『小』

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  R7.8.29 あさがほの葉脈のみづ小ざつぱり           川妻ねり ピーマンがなぜか甘くて小五の恋           文六 お土産は給食袋と小判草           みいみ 小判草灼けて粉吹く牛の糞           矢的 休暇明まだ鶏小屋が怖かつた           七瀬ゆきこ 無職なり小さじに春のみりんかな           夏風かをる 爽やかや小川と小川会うて川           いかちゃん 小鳥来る小窓の桟の小さき糞           穂積天玲 釣れ続く小鯵や小波立つ小磯           三浦海栗 小綺麗な小口小聡明し茗荷の子           トウ甘藻 小夜更けて小鳥を小突く小雨かな           麦のパパ 義士会や遺品に小さき朱肉箱           彼方ひらく 小豆ずつしり家系図は行き止まり           ローゼン千津 小鰯のざつくり盛られ雨後の月           ふくじん R7.9.5 大きい造船所小さい蟻の行列           ひかり 弱小文芸部の活動はアイスから           たらちねの蛍 投票所友に黙礼する小暑           木村弩凡 解凍の鰻小三治聴き終へて           戸部紅屑 糸瓜忌やあと一口の小ライス           石川穴空 病室に小便の音響き盆           ねあるこの5×5 小さき蛾にダビデと名付け放し飼ひ           月乃朱夏 星屑や糞ころがしの蹴り小さし           満生あをね 小銭踏み動かぬ拝み太郎かな           川越羽流 小灰蝶聖が踏まぬはうの石           常幸龍BCAD 生も死も備へて鮫の眼の小さき           元野おぺら 合掌を小菊そよぎて応ふかな           森毬子 火傷痕見えぬやう持つ小菊かな           平野芍薬 被写体として清らなる小火の家           ギル 小鳥来る放火の家の朽ち果てて           岬ぷるうと 『天』 核家族の核とはたまに来る小鳥           さとけん

『俳句甲子園』

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  R7.8.15 俳句甲子園どよめきといふ賛辞聴く           乙華散 俳句甲子園大拍手とは痛きもの           叶安 俳句甲子園糊付け強き襟と袖           三日月なな子 俳句甲子園部長の背なは真白き帆           桜鯛みわ 俳句甲子園やや傾いて部長の手           広島華水樹 俳句甲子園部長溺れてゐるやうな           凡鑽 俳句甲子園攻めるとこなき句を攻める           井納蒼求 俳句甲子園月は笑いますと両断           古瀬まさあき 俳句甲子園跳ぶためにまず膝を折る           木染湧水 俳句甲子園むてきの友とゐて無敵           渋谷晶 眼差しに蒼き引力俳句甲子園           綾竹あんどれ 俳句甲子園風に何万色の青           古賀 をりづるをしをりに俳句甲子園           藤白真語 俳句甲子園こころのみづのあふれさう           平野芍薬 俳句甲子園まばゆき発条となる敗戦           ひそか R7.8.22 挙手といふ浮力はわずか俳句甲子園           広島じょーかーず 俳句甲子園発光体のごとき挙手           麦のパパ 俳句甲子園ディベートの息が足りない           つまりの 俳句甲子園下五余白は雨の音           七色しぐれ 俳句甲子園詩語蓄へて帰る島           音羽凜 俳句甲子園海の匂ひを記す部誌           澤村DAZZA 熱き詩へ余白五グラム俳句甲子園           長澤創次郎 詩は時に千年の旅俳句甲子園           陽光樹 俳句甲子園詩を龍として召喚す           四條たんし 恐竜は翼を残し俳句甲子園           冬のおこじょ 俳句甲子園海は一滴より起こる           伊藤映雪 蝶と蝶ぶつかり発火俳句甲子園           常幸龍BCAD 俳句甲子園雪のためいき月のこゑ           苫野とまや 唇は詩を生む渇き俳句甲子園           楽花生 俳句甲子園詩に濯がれてゆく体           にゃん 『天』 俳句甲子園心臓はまだ詩の砂丘           七瀬ゆきこ

『トマト』

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  R7.8.1 トマト盛るまではサラダの不安さう           鈴白菜実 スライストマト起立しさうなほど毅然           笑田まき 静謐のトマト真つ赤に冷えてゐる           恵勇 トマト冷やした生ぬるい職捨てた           にゃん センキョ割は村のでっかいトマト二個           Rx ジューサーにぶち込むトマト決戦日           竹田むべ マグマ飛び散らせトマトの絶命す           凪太 太陽は眠れぬ星やトマト熟る           はぐれ杤餅 湯剥きしてたましひあらはなるトマト           伊藤柚良 親友の妊娠このトマト甘い           かつたろー。 トマトぬるくてあなたがまだ足りない           沖原イヲ ミニトマトふたつぶ分の空元気           桜鯛みわ トマト捥ぎたて悪友のやうな父だつた           ひそか 百年を生き切り蕃茄には砂糖           庭のほたる草 トマトに塩悪石島のまた揺れて           彩汀 R7.8.8 太陽の神話トマトに残る熱           玉家屋 アポロンの糞たる如きトマト哉           北山銀兔 トマト捥ぐ光は過去形を話す           登りびと トマト捥ぐヘタのあたりが思春期の           綾竹あんどれ 見通しは甘くてトマトぬるくつて           さおきち 言いかけた言葉が嫌いトマト酸つぱ           木染湧水 嘘つきなトマトにうつすらの緑           在在空空 トマト潰す数の多さが正しさか           稲畑とりこ 契約の自由潰しつつ切るトマト           二重格子 俎板に潰れたトマト仕事イヤ           筒井らんぷん リストラは御免だ齧りつくトマト           Q&A トップ記事不穏トマトの尻かじる           木ぼこやしき まだ尻を追つてゐるのかトマト食へ           木内龍 母ぢやない女と赤ぢやないトマト           陽光樹 トマト齧る世を憂ふほど暇ぢやない           石井一草 『天』 青春はトマトのぐじゆぐじゆしたところ           島掛きりの

『夏ぐれ』

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  R7.7.18 左手に夏ぐれ右手にてぃだの海           となりの天然水 アダンの樹叩いて夏ぐれは海へ           アロイジオ 夏ぐれや珊瑚の海は濁らない           ふなべたま 夏ぐれに昏き芯あり海に穴           常幸龍BCAD 夏ぐれや砂糖黍(ウージ)の丈を騒がせて           山内彩月 夏ぐれの去りて太陽(ティダ)吸ふ赤瓦           沖庭乃剛也 龍を哭かすな夏ぐれの赤瓦           七瀬ゆきこ 横殴る夏ぐれの吐く龍の息           広島じょーかーず 夏ぐれや生まれ変わりたさうな石           北野きのこ 夏ぐれの蝶は骨片より産まれ           あまぶー 夏ぐれの果水牛の尻堅し           みづちみわ 夏ぐれや首里は赤々建つてゐる           楽花生 夏ぐれに濯がるる血の色の錆           凪太 火傷の痕を撫で夏ぐれの唄に酔ふ           クウシンサイ 夏ぐれや壕の鉄扉の火照りなほ           ひそか 夏ぐれの後の土踏み壕へ花           河野しんじゆ R7.7.25 夏ぐれの海は鉄色離陸まだ           深山むらさき 夏ぐれにえぐられてゐる拡声器           野野あのん 夏ぐれや動かぬ機動隊の黙           おおたけけんいち トラックの荷台夏ぐれがうるさい           ヒマラヤで平謝り 夏ぐれ浴びてこの土地の人となる           八幡浜うさの 夏ぐれやガジュマルの樹の胎の中           熊の谷のまさる 夏ぐれを逃げて民謡酒場かな           なか鹿の子 夏ぐれや市場に空色の魚           木染湧水 夏ぐれや山羊汁の香を濃くしたる           長谷川水素 血を吸ひし丘へ夏ぐれ降るにほひ           平良嘉列乙 夏ぐれや人を殺してよい正義           蝦夷野ごうがしゃ 夏ぐれやあの崖のこと戦のこと           紫水晶 夏ぐれや私が樹なら咲かない樹           髙田祥聖 『天』 夏ぐれやレリーフの百合ふくらみぬ           巴里乃嬬

一句一遊24周年記念『二十四』

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R7.7.4 二十四枚巻取るライカパリー祭           石手川太郎 ギリシャ語の24文字星涼し           西鯖男 二十四時間目流れ星の授業           片山千恵子 流星を追いかけ二十四キロ超過           佐藤茂之 二十四秒噴水のしんこきふ           ギル 麦の風二十四圓の小さき家           いずみ令香 二十四時まわつて夜濯を断行           広瀬康 夜食喰ふ職歴二十四行目           洒落神戸 二十四社落ちてバナナを剥き胡坐           或人 勝つために眠る二十四時の汗疹           イサク 菊の間へ二十四本目のビール           なしむらなし やや酔うて小雪の二十四日市           高尾一叶 二十四番だと来世朝顔ですね           あいだほ 二十四番目の椎骨から幽霊           高橋寅次 二十四時間だろか海月の一日も           平良嘉列乙 山椒魚の夢に二十四部屋ある           元野おぺら R7.7.11 宿題は胡桃二十四拾うこと           小型犬 二十四色白にはじまる青野かな           髙田祥聖 二十四色どれもが蝶になりたがる           すまいるそら 囀りや二十四CCの母乳           みつ豆 あぢさゐや二十四デシベルの雨           麦のパパ 西瓜なら出来さう二十四等分           伊藤柚良 二十四の辺りを欠いて百足虫這ふ           稲畑とりこ 十二階の足音二十四時の蠅           巴里乃嬬 TОKYОや二十四金めく炎暑           熊の谷のまさる 旅客機は暑き二十四番ゲートから           めいどう エンゼルストランペット二十四歳の性欲           凪太 憲法第二十四条蜜豆の豆残す           幸田梓弓 甲二十四号証のあっぱっぱ           寺尾当卯 二十四世紀に永き日はあるか           樹海ソース 『天』 二十四分おほわらひして死ぬきのこ           いかちゃん 二十四時間だろか水母の一日も           平良嘉列乙

『ちゃぐちゃぐ馬っこ』

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R7.6.20 良い田には良い音が鳴るちやぐちやぐ馬つこ           欣喜雀躍 ちやぐちやぐ馬つこ鈴揺れる田は光る           砂子沢の文四郎 田の水を弾む鈴の音ちゃぐちゃぐ馬こ           栗田すずさん ちゃぐちゃぐ馬っこみんなかぷかぷわらってる           あいだほ みづわらふおとやちやぐちやぐうまつこは           樹海ソース 一町を見渡すチャグチャグ馬コかな           洒落神戸 ちゃぐちゃぐ馬っこあそこは喪が明けた           理酔蓮 ちやぐちやぐ馬つこ一山曳いて来るごとし           高尾一叶 ちやぐちやぐ馬つこ溢れさうなるみづの桶           日永田陽光 ちゃぐちゃぐ馬っこ銀のバケツの力水           イサク チャグチャグ馬コ荷台を弾む草の山           凪太 ちゃぐちゃぐ馬っこ渋滞はいつも八百屋前           六星菴 ちやぐちやぐ馬つこ晴れ装束の尿永し           麦仙人 ちやぐちやぐ馬つこ沿道にゐる盲導犬           伊藤恵美 チャグチャグ馬コしんがり悠々と遅し           いかちゃん R7.6.27 ちゃぐちゃぐ馬っこ馬みなお辞儀して通る           白山おこ女 ちやぐちやぐ馬つこ蒼前様の御神酒澄み           藤色葉菜 くつと神酒飲んでちやぐちやぐ馬こ出づ           平良嘉列乙 ちゃぐちゃぐ馬っこ朝の大っきな山へ礼           山姥和 ちやぐちやぐ馬つこ曳き手の肩の染手綱           ゆすらご ちやぐちやぐ馬つこ眉間に赤き飾紐           十月小萩 草摺は馬の誇りぞちやぐちやぐ馬つこ           智幸子 ちゃぐちゃぐ馬コ鈴たわわなる首よろい           めぐみの樹 ちゃぐちゃぐ馬っこ飾り一切略さず描く           ツナ好 ちやぐちやぐ馬つこ座布団越しの馬の熱           渥美謝蕗牛 ちやぐちやぐ馬つこ鈴はひかりを耕せる           青海也緒 チャグチャグ馬コちからの鈴の漲るよ           古瀬まさあき ちやぐちやぐ馬つこ豊かな鈴と尻と空           朝日 ちやぐちやぐ馬っこ果てて馬らの裸体めく           高田ちぐ...

漢字シリーズ『土』

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R7.6.6 二軍観る土曜の昼の生ビール           西川由野 土ぼこりこつちへ来んな来んな夏           まるかじり つるはしに土木課③や体育祭           北村崇雄 土曜日の心療内科アロハシャツ           月岡方円 土曜日の白藤受胎告知待つ           天雅 甘つたるい土にあぢさゐみなぶるー           沼野大統領 間引菜になるやつ土に残るやつ           菫久 草を引く土を掴む根見放す根           たかみたかみ 甘藍は一尺の玉土に謝す           高原としなり 汗ぬぐふ濡手拭の端の土           ゆきしろの妻 土替へや蚯蚓の空の裏返る           広島じょーかーず 空蝉の土器色(かはらけいろ)の吐息かな           いかちゃん 土器片を洗ふ生業星流る           理酔蓮 涅槃図の土に微かな無重力           ナノコタス 我が胸は焦土すずらん咲くばかり           凡鑽 毛虫焼く土葬ばかりの紛争地           真喜王 土葬せし勇者の握るアマリリス           青田奈央 R7.6.13 粘土の亀をつやつやにして五月           かや 土曜参観先生はアロハシャツ           のなめの子ファースト 先生のパンプスに土麦茶出す           すずらん 土壁の角ががんぼの行き止まり           あが野みなも 土蛙まなこまるごと哭きにけり           山姥和 吐くやうに糞て土鳩の午は夏           古瀬まさあき 羊水の香や小満の腐葉土は           青井えのこ 胎内のやうなるにほひ滝浄土           押見げばげば 大蟹の片足欠ける浄土かな           碧西里 土佐沖の光や棕櫚は花を吹く           ひそか 野薊や土嚢ほつるる出水後           山田不律 夕焼けの張り付いてゐる土鳩の眼           平良嘉列乙 産土の家げじげじの溢れをり           世良日守 桃咲くや御山の神の土俵入り           みいみ 『天』 土潤溽暑微動だにせぬ鰐の群れ           井納蒼求