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一句一遊24周年記念『二十四』

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R7.7.4 二十四枚巻取るライカパリー祭           石手川太郎 ギリシャ語の24文字星涼し           西鯖男 二十四時間目流れ星の授業           片山千恵子 流星を追いかけ二十四キロ超過           佐藤茂之 二十四秒噴水のしんこきふ           ギル 麦の風二十四圓の小さき家           いずみ令香 二十四時まわつて夜濯を断行           広瀬康 夜食喰ふ職歴二十四行目           洒落神戸 二十四社落ちてバナナを剥き胡坐           或人 勝つために眠る二十四時の汗疹           イサク 菊の間へ二十四本目のビール           なしむらなし やや酔うて小雪の二十四日市           高尾一叶 二十四番だと来世朝顔ですね           あいだほ 二十四番目の椎骨から幽霊           高橋寅次 二十四時間だろか海月の一日も           平良嘉列乙 山椒魚の夢に二十四部屋ある           元野おぺら R7.7.11 宿題は胡桃二十四拾うこと           小型犬 二十四色白にはじまる青野かな           髙田祥聖 二十四色どれもが蝶になりたがる           すまいるそら 囀りや二十四CCの母乳           みつ豆 あぢさゐや二十四デシベルの雨           麦のパパ 西瓜なら出来さう二十四等分           伊藤柚良 二十四のあたりを欠いて百足這ふ           稲畑とりこ 十二階の足音二十四時の蠅           巴里乃嬬 TОKYОや二十四金めく炎暑           熊の谷のまさる 旅客機は暑き二十四番ゲートから           めいどう エンゼルストランペット二十四歳の性欲           凪太 憲法第二十四条蜜豆の豆残す           幸田梓弓 甲二十四号証のあっぱっぱ           寺尾当卯 二十四世紀に永き日はあるか           樹海ソース 『天』 二十四分おほわらひして死ぬきのこ           いかちゃん 二十四時間だろか海月の一日も           平良嘉列乙

『ちゃぐちゃぐ馬っこ』

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R7.6.20 良い田には良い音が鳴るちやぐちやぐ馬つこ           欣喜雀躍 ちやぐちやぐ馬つこ鈴揺れる田は光る           砂子沢の文四郎 田の水を弾む鈴の音ちゃぐちゃぐ馬こ           栗田すずさん ちゃぐちゃぐ馬っこみんなかぷかぷわらってる           あいだほ みづわらふおとやちやぐちやぐうまつこは           樹海ソース 一町を見渡すチャグチャグ馬コかな           洒落神戸 ちゃぐちゃぐ馬っこあそこは喪が明けた           理酔蓮 ちやぐちやぐ馬つこ一山曳いて来るごとし           高尾一叶 ちやぐちやぐ馬つこ溢れさうなるみづの桶           日永田陽光 ちゃぐちゃぐ馬っこ銀のバケツの力水           イサク チャグチャグ馬コ荷台を弾む草の山           凪太 ちゃぐちゃぐ馬っこ渋滞はいつも八百屋前           六星菴 ちやぐちやぐ馬つこ晴れ装束の尿永し           麦仙人 ちやぐちやぐ馬つこ沿道にゐる盲導犬           伊藤恵美 チャグチャグ馬コしんがり悠々と遅し           いかちゃん R7.6.27 ちゃぐちゃぐ馬っこ馬みなお辞儀して通る           白山おこ女 ちやぐちやぐ馬つこ蒼前様の御神酒澄み           藤色葉菜 くつと神酒飲んでちやぐちやぐ馬こ出づ           平良嘉列乙 ちゃぐちゃぐ馬っこ朝の大っきな山へ礼           山姥和 ちやぐちやぐ馬つこ曳き手の肩の染手綱           ゆすらご ちやぐちやぐ馬つこ眉間に赤き飾紐           十月小萩 草摺は馬の誇りぞちやぐちやぐ馬つこ           智幸子 ちゃぐちゃぐ馬コ鈴たわわなる首よろい           めぐみの樹 ちゃぐちゃぐ馬っこ飾り一切略さず描く           ツナ好 ちやぐちやぐ馬つこ座布団越しの馬の熱           渥美謝蕗牛 ちやぐちやぐ馬つこ鈴はひかりを耕せる           青海也緒 チャグチャグ馬コちからの鈴の漲るよ           古瀬まさあき ちやぐちやぐ馬つこ豊かな鈴と尻と空           朝日 ちやぐちやぐ馬っこ果てて馬らの裸体めく           高田ちぐ...

漢字シリーズ『土』

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R7.6.6 二軍観る土曜の昼の生ビール           西川由野 土ぼこりこつちへ来んな来んな夏           まるかじり つるはしに土木課③や体育祭           北村崇雄 土曜日の心療内科アロハシャツ           月岡方円 土曜日の白藤受胎告知待つ           天雅 甘つたるい土にあぢさゐみなぶるー           沼野大統領 間引菜になるやつ土に残るやつ           菫久 草を引く土を掴む根見放す根           たかみたかみ 甘藍は一尺の玉土に謝す           高原としなり 汗ぬぐふ濡手拭の端の土           ゆきしろの妻 土替へや蚯蚓の空の裏返る           広島じょーかーず 空蝉の土器色(かはらけいろ)の吐息かな           いかちゃん 土器片を洗ふ生業星流る           理酔蓮 涅槃図の土に微かな無重力           ナノコタス 我が胸は焦土すずらん咲くばかり           凡鑽 毛虫焼く土葬ばかりの紛争地           真喜王 土葬せし勇者の握るアマリリス           青田奈央 R7.6.13 粘土の亀をつやつやにして五月           かや 土曜参観先生はアロハシャツ           のなめの子ファースト 先生のパンプスに土麦茶出す           すずらん 土壁の角ががんぼの行き止まり           あが野みなも 土蛙まなこまるごと哭きにけり           山姥和 吐くやうに糞て土鳩の午は夏           古瀬まさあき 羊水の香や小満の腐葉土は           青井えのこ 胎内のやうなるにほひ滝浄土           押見げばげば 大蟹の片足欠ける浄土かな           碧西里 土佐沖の光や棕櫚は花を吹く           ひそか 野薊や土嚢ほつるる出水後           山田不律 夕焼けの張り付いてゐる土鳩の眼           平良嘉列乙 産土の家げじげじの溢れをり           世良日守 桃咲くや御山の神の土俵入り           みいみ 『天』 土潤溽暑微動だにせぬ鰐の群れ           井納蒼求

『ゼリー』

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  R7.5.23 太陽のこうげきゼリーってむてき           かくれが 群青のゼリー傲慢な青空           あきののかなた ゼリーてふ流れぬ流体の光           岩のじ 溜息のやうなゼリーは固まらず           BEAT 固まるはゼリーが少し憂ふから           加納ざくろ 老成やゼリーは花を閉じ籠めて           ツナ好 失業やゼリーは型に流されて           伊予素数 チャラ男とは無縁硬めのコーヒーゼリー           小笹いのり ゼリーあるよさういふ関係でもないよ           木内龍 ゼリーゼリージゼルの役はなぜあの娘           かま猫 噛まず呑むゼリー散文的な喉           葉村直 入信を勧められたるゼリーかな           久森ぎんう フォーレ聴く夜のゼリーは波打つて           鹿本てん点 夜のゼリーより掘り起こす詩のあぶく           押見げばげば 新月に心臓あらばこのゼリー           凪太 地球史のごとゼリー固める時永し           さんぺきみほ R7.5.30 やや冷めて既にゼリーの息づかひ           元野おぺら 考えてゐる硬さしてゼリーある           二重格子 オレンジのゼリー正しき正義とは           ほろよい 不機嫌な色のゼリーの縁にみづ           稲見里香 その汁をゼリーの唄として愛す           爪太郎 ゼリーってきれい何にも興味なさそうで           家守らびすけ ゼリーから出られないので休みます           あなぐまはる 学食のトレーに傷やゼリー食ふ           藤色葉菜 自己採点終えてゼリーをまっぷたつ           イサク 人体は清き流体ゼリー食ぶ           めぐみの樹 ウイスキーグラスにゼリー盛る有給           佐藤レアレア 王様は裸ゼリーは掴めない           澤村DAZZA 人の世や涙のゼリーあらば食ふ           髙田祥聖 シークヮーサーゼリーが泣けてくる旅だ           にゃん 『天』 垂直の日射しゼリーの果実射る           上腕三頭筋

『初夏』

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  R7.5.9 はつなつの雲は芯からひかりだす           越智空子 りゆんりゆんと光るよ初夏の山彦は           にゃん ペダルかららん初夏の日暮れの始まりは           細井昴 初夏の風ほら桟橋に潜水艦           木染湧水 初夏や卵化石めくガスタンク           林廉子 初夏の午後板書のチョークレモン色           つまりの ふる里は開放弦の初夏の空           小川さゆみ 東京に慣れたか初夏の雨に濡れたか           彩汀 レース鳩しづかに初夏の副都心           すりいぴい はつなつや折り鶴の青匂ひをり           草夕感じ はつなつの空がこはれたがつてゐる           きさらぎ恋衣 何もかも売って初夏の風が痛い           マレット 軽くって分厚い初夏の求人誌           柚木みゆき 見本誌の香りは甘し初夏の風           秘英知 R7.5.16 土へ木へみづへ遍し初夏の雨           穂積天玲 水滴のサラダボウルに沿つて初夏           かま猫 剥きたてのひかりや初夏のサインポール           世良日守 はつなつや光の中の楽器店           一港 蜂の腹はち切れさうな初夏となる           天弓 湾内へ千の窓なる初夏の船           三緒破小 船底のはじめて海に触るる初夏           日永田陽光 渡船場の椅子は不揃ひ初夏の島           霧賀内蔵 瞬膜を閉ぢはつ夏の眩しさへ           七瀬ゆきこ 初夏や飛べない鳥のゐる不思議           かねつき走流 この島に滅ぶ鳥たち初夏の風           岬ぷるうと 初夏の鰭よじらせてアロワナ来           はぐれ杤餅 ミャクミャクの目玉は六つ初夏の空           ふくびきけん 浄髪や初夏の蛇口を分け合ひて           常幸龍BCAD 『天』 復刊は初夏くろがねの栞買ふ           葉村直 はつなつを豊かに蒼く空貝           村瀬ふみや

『フリージア』

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  R7.4.25 フリージア空を讃える歌として          湯屋ゆうや オカリナは涙のかたちフリージア          木染湧水 つぎつぎとかをりを灯せフリージア          郡山の白圭 不機嫌な自分が嫌いフリージア          彩汀 フリージアひかりは泣いた後のやう          眩む凡 フリージア涙は一筋がきれい          髙田祥聖 点滴のひやりとにほふフリージア          野野あのん 履歴書の余白も履歴フリージア          いしとせつこ くすくすと耳打ちのやうフリージア          飯村祐知子 美術部のバケツのままのフリージア          采女のぼたん フリージア香る二階の図工室          宇都宮駿介 フリージア明るし喜望峰のにほひ          沼野大統領 フリージア海は大きく濡れてゐる          理酔蓮 フリージア懐郷病めるほどとなり          爪太郎 寂しさの底は漏れ出すフリージア          岬ぷるうと フリージア供えまだあるか純情          庭のほたる草 R7.5.2 傘の柄に雨の震へやフリージア          稲畑とりこ フリージア今朝は甘酸つぱい鬱だ          いかちゃん さいはひはかたてにたりてフリージア          宮井そら 守られた約束はフリージアになる          葉村直 フリージアわたしの処方箋として          主藤充子 フリージア進路希望は天使です          嶋村らぴ フリージア振ればころころ鳴るわたし          桃園ユキチ カーテンは風の眷属フリージア          にゃん 風の傷あるらし夜のフリージア          中島紺 フリージア仔牛に死を教えぬまま          たーとるQ フリージア芳し伊豆の海青し          中岡秀次 フリージアの下に横浜雨の街          高原としなり フリージア父死んでより貧しき詩          伊藤映雪 空也の吐いてをるはフリージアであつたか          古賀 フリージア空也像には色がない          熊の谷のまさる 『天』 わたしにも光屈性フリージア          五味海秀魚

カタカナシリーズ『ツ』

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  R7.4.11 さくら咲くだけのフツウの町で好き           古瀬まさあき 死ぬ時ぐらいポツンとがいい囀れり           きつネつき 脳みそと同じ重さのキャベツ抱く           熊の谷のまさる 不妊治療辞める宣言キャベツ切る           三月兎 離婚成立避暑地の朝のツナサラダ           内田ゆの 遅刻だしアロハシャツだし手ぶらだし           いかちゃん プリッツの端まで塩や夏の空           公木正 チョコチップクッキーのカスが春こたつに付く           しいちゃん 昼食がミックスナッツ新社員           山羊座の千賀子 ポッキーのどろどろ愛の日の不倫           留辺蘂子 スツールに昭和のにほひ西日射す           大空晴子 恋猫の闇へとポップコーン撃つ           亀田荒太 行く夏を放つ深夜のダーツバー           はなぶさあきら ブーツの踵折れ愛の日は嫌い           小野更紗 毛皮商ツァーリのすゑと耳打ちを           伊藤恵美 巴旦杏咲くモーツァルトの浪費癖           ひそか ツィゴイネルワイゼン孑孑に空とぶこころ           イサク R7.4.18 春めきて水はバケツを出たがりぬ           すまいるそら ツチノコの空の明るむ野焼き跡           綾竹あんどれ 春愁のあくびミツユビナマケモノ           めろめろ リュウグウノツカイ鞣してゐる春月           一斤染乃 洗髪も石鹸ボツワナの春は           巴里乃嬬 アロハシャツの母の土産がアロハシャツ           常幸龍BCAD 異国めく京都牛カツには山葵           板柿せっか するめ齧るリッツカールトンの短夜           幸田梓弓 月光タワー集合亀鳴くを聴くツアー           ほろよい アルツハイマーの鯨は歌がすき           葉村直 ドッペルゲンガー春愁を餌として           赤尾双葉 扇風機うなづきレッド・ツェッペリン           宵嵐 イキルッテツラクテツマラナクテ独活           凪太 夏シャツの多幸症めく皺伸ばす           ギ...