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『進級』

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  R7.3.28 進級す生徒三人兎二羽         つとむくん 賑やかな複式進級の初日         みっけのたかゆみ 進級やシーツのかをる保健室         誉茂子 進級のクラス分け知る保健室         紫水晶 進級の朝のひかりに傷みさう         島田雪灯 シャー芯一生分祖母の進級祝         たいらゆうじ 進級や家庭教師は六人目         小型犬 三階の造花ひしゃげている進級         澤村DAZZA 後輩へコーラ進級の日も寝ぐせ         一斤染乃 進級やラーメン奢らされてゐる         コンフィ 進級や先輩はもう東京か         花豆 進級す砂浜なんか走らねえ         巴里乃嬬 四年目の進級親不知が痛い         めろめろ あと二年齧る脛なし進級す         凡鑽 雀卓の内三人は進級す         池之端モルト 雀卓に知る進級は俺だけと         ふるてい 進級や雀荘で食ふナシゴレン         野野あのん R7.4.4 進級やオナカガイタイ月曜日         まあぶる 牛乳いらない進級したくない         ねあるこの5×5 進級の朝やオウムのハローハロー         門前の一草 五冊目の実習ノート進級す         馬越あずき 進級や教科書はあとがきがない         かねつき走流 美しき虹を描く進級の黒板へ         山羊座の千賀子 進級す黒板消しを叩けば雲         古賀 進級や輪郭の曖昧な雲         千夏乃ありあり 進級や昇降口の雨の唄         りぷさりす園芸店 進級の日は雨廊下の陽柔し         乃咲カヌレ 本校へ船で二時間進級す         宇都宮駿介 シアトル便のチケット進級はしない         ひでやん 全員を進級させてギムレット         鈴木麗門 バッハのフーガ進級の甘い鬱         茶々琴子 進級を選ばず俺は樹と語る         慈雲奏荘 『天』 請け戻す画材一式進級す         川端こうせゐ

『凍解』

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  『凍解』 R7.3.14 凍解の空みづいろに漲りぬ           石塚彩楓 まだ清廉なかたち凍解の空           きのえのき 凍解へ防風林は根を晒し           北野きのこ 凍解やぎうぎうみづを欲する根           青海也緒 凍解の二歩目はつかに沈みをり           彼方ひらく 凍解や染物さらす小川の香           はなぶさあきら 凍解や古びる橋のトリアージ           つきのしゅか 鉄橋は樹海の出口凍てゆるむ           常幸龍BCAD 里は凍解け山はまだ燃えてゐる           佐藤茂之 野のうらをぬらしゆく凍解のみづ           ギル 重力に沿ふ凍解のみづきれい           広島じょーかーず 凍解やこころがとけてこゑになる           古賀 凍解や怒りは捨てたはずだつた           けーい〇 いてどけやさびしいうそもホシになる           丸山美樹 凍解やあいつは海になりました           広島華水樹 凍解や友喪いて何が春か           平山仄海 凍解を逝くなにひとつ悲しませず           七瀬ゆきこ R7.3.21 凍解のどれも明るき泥の靴           ナノコタス チワワ爆走凍解のドッグラン           花豆 凍解やしやがれごゑめく土の香は           仁和田永 凍解の光とセダム植ゑて待つ           りぷさりす園芸店 凍解や花の切手の110円           三緒破小 凍解や切手の驢馬の眠さうな           眩む凡 生臭きゴリラの欠伸凍解す           世良日守 恐竜の欠伸臭する凍解だ           司啓 農神のあくび津軽の凍てゆるむ           巴里乃嬬 凍解や平らかな祝詞のこきふ           常盤はぜ 凍解いま蝦夷の尾鰭の付け根まで           元野おぺら 警笛の尾は柔らかし凍てゆるむ           森毬子 凍解けや卵殻膜のあえかなる           コンフィ アルカイクスマイル凍解と訳す            髙田祥聖 『天』 凍解や千歳と名付けたき原野           かねつき走流

『干鱈』

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  R7.2.28 干鱈嚙む憂鬱に似た海のいろ           碧西里 干鱈噛む海風強き村の端           栗田すずさん 順調に老いゆく指や干鱈割く           ばばばあちゃん 投稿のラジオ干鱈を焼く手止め           おこそとの くちびるのけがにひだらがしよつぱすぎ           ひびきX 風吹いて干鱈の揺れて金なくて           岡田きなこ 生きるには少しの野心干鱈噛む           窪田ゆふ 求職や干鱈を噛んで味のする           二重格子 配給は干鱈毎日ひだらと母           高原としなり 家系譜に載らぬ曾祖母干鱈噛む           七瀬ゆきこ 樺太に祖父の系譜や干鱈さく           はぐれ杤餅 能登を風しほのつぶ立つ干鱈かな           トウ甘藻 マッコリは月の甘みや干鱈裂く           久森ぎんう 干鱈掬うスープの底の祖国かな           沢胡桃 干鱈割くつひに日本を出ぬ人生           木ぼこやしき R7.3.7 塩を抜く干鱈の誇り折らぬやう           庭の蛍草 百本の干鱈の堤がる暗き蔵           富士山 干鱈焼く火は外海の吠える音           森毬子 干し鱈や若狭の寺に人多し           清水縞午 干鱈来る山には山の祝事           中島紺の子 棒鱈を戻す再婚てふ縁           川端こうせゐ 縁は切りたし干鱈は塩の抜け難し           凡鑽 鬱王と名付けて干鱈叩き割る           伊藤映雪 顔のない干鱈と顔のある干鱈           柊琴乃 干鱈てふ全裸より裸な覚悟           赤目作 干鱈噛む承認欲求はくさい           公木正 干鱈裂く吾に由一の画才なし           沼野大統領 干鱈毟る啄木の詩は生臭い           樹海ソース 生き恥は鹹し干鱈を湯にもどす           押見げばげば 『天』 干鱈打つ海風干鱈より重し           夏椿咲く 酒に干鱈 あゝ 嚙み合わぬ結婚観           イサク

漢字シリーズ『山』

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  R7.2.14 叡山電車この駅からの寒さあり           門前の一草 叡山の此処が丹田寒灯           凡鑽 山彦と張り合つてゐる御慶かな           いかちゃん みどりごのまなこはくろし初山河           麦仙人 宝船どれも山師のやうな顔           つきのしゅか 山は春隣り天之手力男神(アメノタヂカラ)の咆哮           西条ユーホ吹き 山鳩の風切ましろ春近し           くま鶉 千代紙の折り目に春の山と谷           綾竹あんどれ 色鉛筆ころころ春の山きれい           のんきち 赤点をくらいて春の山に寝る           草夕感じ 子沢山の友へミモザは満開です           日土ぽぽんた 山吹の花弁平たし野は広し           ルーミイ 山車を引き終へて氷菓をもらふ列           いさな歌鈴 幾たびも山を描くや盆踊           常盤はぜ 夕焼けに懐かれ山の葉が赫い           木染湧水 夏山のゴミ吊り下げるヘリの影           落花生の花 山清水脇の巨木に一礼す           ヴィノクロ 山小屋の寝袋増えてゐる未明           野地垂木 R7.2.21 片手分山羊へと積んで春の草           久森ぎんう 遠足はいつも山つまらない山           千夏乃ありあり 山頂に珊瑚の化石夏始           井納蒼求 父の持つ袋に山葵釣果知る           阿野泰己 湯治場に双子の婆よ山葵漬           大久保加州 鼻を刺す山葵のちから年金日           もりおかかぽ 赤飯を飛び出してゐる山の栗           はなちるさと 追悼や月に濡れゐる山椿           巴里乃嬬 まつくろな月まつくろな紅葉山           石井一草 風花を噴いてよこすは浅間山           杏乃みずな 雪虫の眷属として山に入る           髙田祥聖 雪下し上手米山甚句下手           凪太 山眠る退屈さうな立ち便器           樹海ソース にはとりの助走は永し山眠る           押見げばげば 『天』 山姥の家燃えたぎる冬の梅           打楽器

『冬菫』

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  R7.1.31 冬すみれ小学校が遠すぎる          そら 菓子缶は手紙の棺冬すみれ          ツナ好 冬すみれ神童のままいたかつた          平山仄海 求職のための出勤冬すみれ          二重格子 転職の運河の街を冬すみれ          鈴木麗門 決心は固し冬菫へと風          川越羽流 冬菫のためにしゃがんだわけじゃない          多数野麻仁男 冬菫笑つた気がしたと記す          山本パンダ 冬すみれ考(ちち)は明るき丘の上          紫水晶 冬菫余命の見える眼欲し          GONZA 冬菫おれ死にたくはないらしい          イサク モルヒネの夢の片隅冬すみれ          十月小萩 さつきまでてふだつたこの冬菫          渋谷晶 祈るとき人は小さし冬菫          一斤染乃 主はこれをあはれみ選ぶ冬すみれ          中岡秀次 ひかりとはマリアの吐息冬すみれ          樹海ソース たましひは鈴のかたちや冬すみれ          ぞんぬ R7.2.7 冬菫あえかな風が痛さうな          仁和田永 慰めのごとき雨音冬すみれ          山内彩月 街灯の光を雨が冬菫          ほろよい 駐車場五番の奥の冬菫          のなめの子セカンド 冬すみれ雲はどこから見ても横          元野おぺら 冬すみれ父の物忘れはきれい          モッツァレラえのくし ふるさとの海はしわくちや冬すみれ          常幸龍BCAD 冬すみれ燧灘へと風の鳴る          妙 原発の海暖かし冬すみれ          ちろりん 冬すみれ揺らす震源から風          夏風かをる 冬菫ここは活断層の上          小笹いのり 詩歌とは愉しき呪い冬菫          横縞 仕合せな詩人はきらひ冬すみれ          長谷川水素 冬菫深く彫らるる義民の名          藤白真語 冬菫これより革命の春へ          錆田水遊 『天』 かく晴れてよく鳴りさうな冬すみれ          古瀬まさあき

『いい、つばきの日 2025』

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  R7.1.26 【スピードキング】 赤い椿白い鉢へと落ちにけり Rⅹ 落ちてなほ上を向きたる椿かな 洒落神戸 降り注ぐ角度白椿のひとつ 平良嘉列乙 【書かれないけど】 ブローチにしちゃいたいほど赤椿 本田わらび 副社長の指美しき白椿 ローゼン千津 俺は赤字スパチャは黄色椿は白 たーとるQ 白椿画面に映る美男美女 みやながたけひこ 椿の句甘く美しくて頭痛 きつネつき 人類に浣腸椿に栄養剤 沼野大統領 【秀 句】 白椿紙の椿とならびけり 錆田水遊 副社長の椿おてんとさまの白 平良嘉列乙 松山は煌めいているか椿は燃えているか 坐花酔月 白卜伴ぼくも存在してていい 冬のおこじょ 白椿ぽとりごめんねが言えない うからうから 折り紙の色より淡き白椿 大津美 しあはせに浸食されて落椿 帝菜 白椿やさしき人へ目礼す 横縞 プラモデルみたいに椿並べられ もりさわ 白椿なにやら機嫌とりたさう 稲畑とりまる 折り紙の椿より綺麗な椿 富山湾 椿伸ぶ椿の札を差し置いて 二重格子 あの花瓶うちにもあるわ紅椿 千暁 椿七種咲かせて叔母の聞き上手 片野瑞木 白椿花片に鳥の爪の傷 有村自懐 ひよどりの小言翻訳する椿 翡翠工房 散りぼへる椿はくちびるの硬さ 綾竹あんどれ 白椿天使の梯子めく角度 川越羽流 プリキュアになりたし椿ひらきたし 暖井むゆき たましいの疲れた色や赤椿 加田紗智 紅椿もう恋などと思ったが くつのした子 落椿龍の目玉になりたくて 千鳥城 獣めく香のあり冬椿あまし 岬ぷるうと 落椿見下ろす貌なる椿 大黒とむとむ シンバルを叩くが如く落椿 だんがらり 白い椿赤より先に落ちたがる わおち 【ブービー賞】 白卜伴商い願う花と決め ひめのあひる 【当たったらラッキーde賞】 子の吐いた息めく白の落椿 服部あや なぁらんだ赤白ピンクいい椿 ひめのさんしょ 会議室に挿したる故里の椿 Q&A 月光の名を持つ椿探す庭 はしづめとわ 八重椿当たる日差しは四重奏 望月ゆう どこまでも伸びていきそな白椿 南回帰線 葉の照りに花弁を映し白椿 木村弩凡 邪魔といふ字面恐ろし落椿 大黒とむとむ 松山弁椿も友と今思ふ 花ばば 八重椿本音は人に告げぬもの 陽幸樹 【いい、つばきの日賞】 民主的な椿葉を上に乗せる となりの天然石 本当にぽとんと落つる椿かな 沖原イヲ 松山の水は甘いか白椿 ようこうよ 【ギ...

『雪鳥』

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  R7.1.17 雪鳥や空は青いがなにもない           井上れんげ 青空より降り雪鳥となりにけり           中岡秀次 降り残す根方を雪鳥の番ひ           板柿せっか 雪鳥やほんのり飢ゑて器量よき           長谷川水素 雪鳥の雪を叩いて争へり           多々良海月 雪鳥に追ひ払はれて雪鳥は           小野更紗 雪鳥や小さき方を己とす           未茂李座 雪鳥の雪のにほひにふくらみぬ           きのえのき 雪鳥に告ぐ旨い実は右の木ぞ           さおきち 雪鳥の雪掘る嘴の雪まみれ           にゃん 雪鳥の眼の真中より昏くなる           古瀬まさあき 雪鳥の渦に漂白されたる死           古賀 雪鳥のしづかに飢ゑて淡き熱           常幸龍BCAD 雪鳥や火薬めきたる飢ゑに熱           熊の谷のまさる 雪鳥や戦はうたを紡げない           つまりの 雪鳥と雪とはつまり詩人と詩           司啓 雪鳥の群れは寂しき野の明かり           陽光樹 R7.1.24 雪鳥が鳴つてしなつて樹は楽し           おかまごはん 雪鳥やスタッカートは弱く跳ねる           しいちゃん 雪鳥の集ふ小さき古墳かな           飯村祐知子 雪鳥の束の間神籬の日向           沢拓庵 日だまりに雪鳥といふ飢渇かな           伊藤映雪 雪鳥のひかり滴らせつつ飢う           七瀬ゆきこ 雪鳥の渇きしままに眠りけり           山本先生 雪鳥や誰とも会はぬ日を三日           中島容子 遠くに雪鳥効かないロキソニン           花豆 雪鳥の啜る樹液のひかりかな           樋口滑瓢 みづ清し水鳥の喉通るとき           ひそか 雪鳥やひかりに塗れゐて濡れず           凡鑽 雪鳥を散らし重機は動きをり           無敵なおき 被災地やひしやげた桶と雪鳥と           富山の露玉 『天』 ひかり噴くやうに雪浴びの雪鳥           三月兎 教え・・・季語を立てるとは(R7.1.23 『一句一遊』虎の巻より) 他の季語だ...