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カタカナシリーズ『ス』

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  R7.10.24 ピタゴラスイッチのドミノ倒れるやうに春           伊藤映雪 ローラースライダー春のお尻がかゆいかゆい           夏湖乃 凶暴なソースの香なり海の家           みしまはぐし じゆくじゆくのピアスホールや柘榴食む           飯村祐知子 グラジオラス天に歯向かふほど強気           たかみたかみ スイートピー心が擦れて歩けない           理酔蓮 ホステスの食らふ酢豚や夜は長し     (帰ってきた)多喰身・デラックス 春愁を盾としカップスープ出す           すまいるそら へこたれさうなこころへ金秋のスープ           冬島直 クリスマス星の香れる樹を探す           那乃コタス 西瓜切る此の世にパレスチナは在る           長谷川水素 スイス国境車窓は月の葡萄園           井上さち ダイヤモンドダスト奇跡はもの静か           月下檸檬 スクラッチの銀屑ふつと冬めきぬ           佐藤儒艮 フラスコに君と光と冬木立           浅海あさり フラスコにコスモス科学部は四人           卯之町空 R7.10.31 コスモスの震へてスクーリングの日           斉藤立夏 秋口の日直マスターキー長い           潮湖島 トーストが刺さる学校は冷たい           山羊座の千賀子 ストーブにアルミ弁当箱過密           オルソ ストーブの蒼き炎や動かぬ手           ちよ坊 ダイエット・コーク、満月、スター・ウォーズ           爪太郎 サーカスのテントへ満月の涙           細井昴 未明のカンファレンス見えぬ木犀の香           橋詰とわ パルスオキシメーター かなかな かなかな           イサク 愛の日のグリーンスムージー苦し           天宮ほたて マスカット清くみづかがみのいびつ           三隅涙 鬼の醜草よロマンス詐欺かしら           川越羽流 thの「ス」が下手ホットドリンクス           藍創千悠子 『天』 エアバスケのパス避難所の秋天へ           海色のの 『銀曜日』(R7.10.30 一...

『正倉院曝涼』

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  R7.10.10 正倉院曝涼和紙開く音豊なり          松本温布 正倉院曝涼玉虫は陽を恋しがる          水玉 正倉院曝涼雲は聖の肋めく          しばのおはる 正倉院曝涼木の死とは甘し          横縞 曝涼に墨の長吁や正倉院          宇野翔月 しやうさうゐんばくりやう屏風の鳥の毛のそよぐ          音羽凜 正倉院曝涼琵琶を螺鈿の駱駝行く          木ぼこやしき 正倉院曝涼琵琶弾くをとこ琵琶のなか          古賀 正倉院曝涼龍歯てふ薬          ローゼン千津 正倉院曝涼青く冷えたる瑠璃魚          樫の木 正倉院曝涼砥草に磨く瑠璃魚型          津島野イリス 正倉院曝涼遺愛の鏡に夜光貝          山内彩月 正倉院曝涼終には砂になる珊瑚          三水低オサム 正倉院曝涼貝に千年てふ刹那          山本先生 正倉院曝涼影を取り替へる          ギル R7.10.17 樟脳は十キロ正倉院曝涼          日土野だんご虫 経錦に金のささくれ正倉院曝涼          井納蒼求 正倉院曝涼胡瓶の闇に鳥          板柿せっか 宝物の胡人髭濃し正倉院曝涼          クラウド坂の上 正倉院曝涼螺鈿の鳥の眼濃し          ポコアポコ 正倉院曝涼螺鈿の赤の生々し          たかみたかみ 正倉院曝涼螺鈿の虹の息          月岡方円 正倉院曝涼琵琶を眠らぬ花螺鈿          麦のパパ 正倉院曝涼なみだのかたちして琵琶は          にゃん 正倉院曝涼したたるやうに琵琶の尻          古瀬まさあき 正倉院曝涼神獣鏡唄ふ          富山の露玉 螺鈿鏡に千年のひま正倉院曝涼          七瀬ゆきこ 正倉院曝涼舌に冷たき鏡の名          野野あのん 正倉院曝涼こころって螺鈿          広瀬康 正倉院曝涼ガラムの香の仄か          矢的 『天』 正倉院曝涼はて馬の音船の音          元野おぺら

『蝗』

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  R7.9.26 組み立てて蝗のパーツおよそ千           千夏乃ありあり 後脚の六角レンチめく蝗           オキザリス ガスマスクめく蝗の顔の向かい来る           小笹いのり 蝗とぶつかるどっちも謝らない           八幡浜うさの 跳びあがる蝗は蝗の肩蹴つて           樋口滑瓢 位牌買ふ一升瓶の蝗にて           佐藤茂之 びやうびやうと蝗は風を嚙砕き           常幸龍BCAD しりしりと日蝕満ちて葉に蝗           坐花酔月 兵糧は尽きて蝗の目の疼き           うめやえのきだけ 蝗嚙む寂しき一城の主           髙田祥聖 皇帝の子孫蝗に喉仏           トウ甘藻 亡国や蝗の腹を食ふ蝗           樫の木 雨をラオ蝗の太き後ろ足           石川穴空 報道の煽る聖戦蝗飛ぶ           亀田荒太 いなごいなごヒトは滅びたがつてゐる           あいだほ R7.10.3 すぐそこへ蝗面倒さうに散る           木ぼこやしき つるむ蝗同じ角度に見上げをり           たかみたかみ 赦し請うごとき蝗の交尾かな           凪太 火の中に敢ふるがごとく蝗跳ぬ           玉家屋 蝗五十キロびきびき動く袋かな           ナノコタス 畔に熾す蝗百頭葬る火           山本先生 笊に残る蝗の足の五六本           深山むらさき 蝗炒る祖母恍惚と笑みたりき           いかちゃん 蝗炒る飴色までの微熱かな           笑笑うさぎ からからのいなご火の穂の貌をして           押見げばげば 蝗煮てジャム煮て信濃住み慣れて           甘えび 蝗喰ふ信濃は遠く清らなり           なしむらなし 故郷に蝗はいない墓もない           かぜのはな 太陽赤々旗日を千の蝗飛ぶ           古瀬まさあき 『天』 蝗ゐて乾きて蒙古遠征日           無敵なおき 手のひらはまづしきうつわ蝗蹴る           にゃん

『身に入む』

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  R7.9.12 耳に貝あてて身に入む無音かな          山本先生 身に入むや貝が喰ひたる貝の穴          彼方ひらく 身に入むや砂となりつつ砂の城          常幸龍BCAD 身に入むやさざ波はたださざ波で          ねあるこの5×5 身に入むや浚渫船の掻く汽水          三浦海栗 遠鳴りの身に入む夜や白湯を飲む          津島野イリス 身に入むや深夜ラヂオのみづの音          夏湖乃 身に入むやロシア民謡ラヂオから          庭のほたる草 身に入みて造花のやうに笑ひけり          髙田祥聖 今更に身に入む猿の尻の色          中型犬 身に入みて疲れた色の尿を採る          丁鼻トゥエルブ 身に入むや壁に幽き性器の図          長谷川水素 身に入むやエコーに石の十二粍          はぐれ杤餅 身に入むや百ミクロンの受精卵          ぽおや 身に入みてからだ硝子になりさうで          たーとるQ 身に入みてみな魂の位置違う          元野おぺら R7.9.19 身に入むやチラシ噴き出すポストたち          未茂李座 二日目で辞めて身に入む帰路である          青居舞 身に入むや眼鏡のつるの当たる耳          千夏乃ありあり 身に入むや一人暮らしが飼ふ一羽          すりいぴい 片しては身に入む部屋の花瓶かな          風のピアノ 身に入むや父の厨の花布巾          せんとう一波 厨房に聞いて身に入むお経かな          木村久草 身に入むや厨の土間の潮湿り          ひそか 身に入むや火がつく前のチッチッチ          宇都宮駿介 身に入むやジジといらふる煙草の灯          満生あをね 身に入むや鳥籠の戸のカタカタと          苫野とまや 身に入むや鳥の形のサキソフォン          古賀 月あかり身に入みて身の清くなり          どいつ薔芭 身に入むや漢詩に多く月の歌          藤井天晴 『天』 嘶いて身に入む遠野物語          池之端モルト

漢字シリーズ『小』

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  R7.8.29 あさがほの葉脈のみづ小ざつぱり           川妻ねり ピーマンがなぜか甘くて小五の恋           文六 お土産は給食袋と小判草           みいみ 小判草灼けて粉吹く牛の糞           矢的 休暇明まだ鶏小屋が怖かつた           七瀬ゆきこ 無職なり小さじに春のみりんかな           夏風かをる 爽やかや小川と小川会うて川           いかちゃん 小鳥来る小窓の桟の小さき糞           穂積天玲 釣れ続く小鯵や小波立つ小磯           三浦海栗 小綺麗な小口小聡明し茗荷の子           トウ甘藻 小夜更けて小鳥を小突く小雨かな           麦のパパ 義士会や遺品に小さき朱肉箱           彼方ひらく 小豆ずつしり家系図は行き止まり           ローゼン千津 小鰯のざつくり盛られ雨後の月           ふくじん R7.9.5 大きい造船所小さい蟻の行列           ひかり 弱小文芸部の活動はアイスから           たらちねの蛍 投票所友に黙礼する小暑           木村弩凡 解凍の鰻小三治聴き終へて           戸部紅屑 糸瓜忌やあと一口の小ライス           石川穴空 病室に小便の音響き盆           ねあるこの5×5 小さき蛾にダビデと名付け放し飼ひ           月乃朱夏 星屑や糞ころがしの蹴り小さし           満生あをね 小銭踏み動かぬ拝み太郎かな           川越羽流 小灰蝶聖が踏まぬはうの石           常幸龍BCAD 生も死も備へて鮫の眼の小さき           元野おぺら 合掌を小菊そよぎて応ふかな           森毬子 火傷痕見えぬやう持つ小菊かな           平野芍薬 被写体として清らなる小火の家           ギル 小鳥来る放火の家の朽ち果てて           岬ぷるうと 『天』 核家族の核とはたまに来る小鳥           さとけん

『俳句甲子園』

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  R7.8.15 俳句甲子園どよめきといふ賛辞聴く           乙華散 俳句甲子園大拍手とは痛きもの           叶安 俳句甲子園糊付け強き襟と袖           三日月なな子 俳句甲子園部長の背なは真白き帆           桜鯛みわ 俳句甲子園やや傾いて部長の手           広島華水樹 俳句甲子園部長溺れてゐるやうな           凡鑽 俳句甲子園攻めるとこなき句を攻める           井納蒼求 俳句甲子園月は笑いますと両断           古瀬まさあき 俳句甲子園跳ぶためにまず膝を折る           木染湧水 俳句甲子園むてきの友とゐて無敵           渋谷晶 眼差しに蒼き引力俳句甲子園           綾竹あんどれ 俳句甲子園風に何万色の青           古賀 をりづるをしをりに俳句甲子園           藤白真語 俳句甲子園こころのみづのあふれさう           平野芍薬 俳句甲子園まばゆき発条となる敗戦           ひそか R7.8.22 挙手といふ浮力はわずか俳句甲子園           広島じょーかーず 俳句甲子園発光体のごとき挙手           麦のパパ 俳句甲子園ディベートの息が足りない           つまりの 俳句甲子園下五余白は雨の音           七色しぐれ 俳句甲子園詩語蓄へて帰る島           音羽凜 俳句甲子園海の匂ひを記す部誌           澤村DAZZA 熱き詩へ余白五グラム俳句甲子園           長澤創次郎 詩は時に千年の旅俳句甲子園           陽光樹 俳句甲子園詩を龍として召喚す           四條たんし 恐竜は翼を残し俳句甲子園           冬のおこじょ 俳句甲子園海は一滴より起こる           伊藤映雪 蝶と蝶ぶつかり発火俳句甲子園           常幸龍BCAD 俳句甲子園雪のためいき月のこゑ           苫野とまや 唇は詩を生む渇き俳句甲子園           楽花生 俳句甲子園詩に濯がれてゆく体           にゃん 『天』 俳句甲子園心臓はまだ詩の砂丘           七瀬ゆきこ

『トマト』

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  R7.8.1 トマト盛るまではサラダの不安さう           鈴白菜実 スライストマト起立しさうなほど毅然           笑田まき 静謐のトマト真つ赤に冷えてゐる           恵勇 トマト冷やした生ぬるい職捨てた           にゃん センキョ割は村のでっかいトマト二個           Rx ジューサーにぶち込むトマト決戦日           竹田むべ マグマ飛び散らせトマトの絶命す           凪太 太陽は眠れぬ星やトマト熟る           はぐれ杤餅 湯剥きしてたましひあらはなるトマト           伊藤柚良 親友の妊娠このトマト甘い           かつたろー。 トマトぬるくてあなたがまだ足りない           沖原イヲ ミニトマトふたつぶ分の空元気           桜鯛みわ トマト捥ぎたて悪友のやうな父だつた           ひそか 百年を生き切り蕃茄には砂糖           庭のほたる草 トマトに塩悪石島のまた揺れて           彩汀 R7.8.8 太陽の神話トマトに残る熱           玉家屋 アポロンの糞たる如きトマト哉           北山銀兔 トマト捥ぐ光は過去形を話す           登りびと トマト捥ぐヘタのあたりが思春期の           綾竹あんどれ 見通しは甘くてトマトぬるくつて           さおきち 言いかけた言葉が嫌いトマト酸つぱ           木染湧水 嘘つきなトマトにうつすらの緑           在在空空 トマト潰す数の多さが正しさか           稲畑とりこ 契約の自由潰しつつ切るトマト           二重格子 俎板に潰れたトマト仕事イヤ           筒井らんぷん リストラは御免だ齧りつくトマト           Q&A トップ記事不穏トマトの尻かじる           木ぼこやしき まだ尻を追つてゐるのかトマト食へ           木内龍 母ぢやない女と赤ぢやないトマト           陽光樹 トマト齧る世を憂ふほど暇ぢやない           石井一草 『天』 青春はトマトのぐじゆぐじゆしたところ           島掛きりの