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『凍解』

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  『凍解』 R7.3.14 凍解の空みづいろに漲りぬ           石塚彩楓 まだ清廉なかたち凍解の空           きのえのき 凍解へ防風林は根を晒し           北野きのこ 凍解やぎうぎうみづを欲する根           青海也緒 凍解の二歩目はつかに沈みをり           彼方ひらく 凍解や染物さらす小川の香           はなぶさあきら 凍解や古びる橋のトリアージ           つきのしゅか 鉄橋は樹海の出口凍てゆるむ           常幸龍BCAD 里は凍解け山はまだ燃えてゐる           佐藤茂之 野のうらをぬらしゆく凍解のみづ           ギル 重力に沿ふ凍解のみづきれい           広島じょーかーず 凍解やこころがとけてこゑになる           古賀 凍解や怒りは捨てたはずだつた           けーい〇 いてどけやさびしいうそもホシになる           丸山美樹 凍解やあいつは海になりました           広島華水樹 凍解や友喪いて何が春か           平山仄海 凍解を逝くなにひとつ悲しませず           七瀬ゆきこ R7.3.21 凍解のどれも明るき泥の靴           ナノコタス チワワ爆走凍解のドッグラン           花豆 凍解やしやがれごゑめく土の香は           仁和田永 凍解の光とセダム植ゑて待つ           りぷさりす園芸店 凍解や花の切手の110円           三緒破小 凍解や切手の驢馬の眠さうな           眩む凡 生臭きゴリラの欠伸凍解す           世良日守 恐竜の欠伸臭する凍解だ           司啓 農神のあくび津軽の凍てゆるむ           巴里乃嬬 凍解や平らかな祝詞のこきふ           常盤はぜ 凍解いま蝦夷の尾鰭の付け根まで           元野おぺら 警笛の尾は柔らかし凍てゆるむ           森毬子 凍解けや卵殻膜のあえかなる           コンフィ アルカイクスマイル凍解と訳す            髙田祥聖 『天』 凍解や千歳と名付けたき原野           かねつき走流

『干鱈』

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  R7.2.28 干鱈嚙む憂鬱に似た海のいろ           碧西里 干鱈噛む海風強き村の端           栗田すずさん 順調に老いゆく指や干鱈割く           ばばばあちゃん 投稿のラジオ干鱈を焼く手止め           おこそとの くちびるのけがにひだらがしよつぱすぎ           ひびきX 風吹いて干鱈の揺れて金なくて           岡田きなこ 生きるには少しの野心干鱈噛む           窪田ゆふ 求職や干鱈を噛んで味のする           二重格子 配給は干鱈毎日ひだらと母           高原としなり 家系譜に載らぬ曾祖母干鱈噛む           七瀬ゆきこ 樺太に祖父の系譜や干鱈さく           はぐれ杤餅 能登を風しほのつぶ立つ干鱈かな           トウ甘藻 マッコリは月の甘みや干鱈裂く           久森ぎんう 干鱈掬うスープの底の祖国かな           沢胡桃 干鱈割くつひに日本を出ぬ人生           木ぼこやしき R7.3.7 塩を抜く干鱈の誇り折らぬやう           庭の蛍草 百本の干鱈の堤がる暗き蔵           富士山 干鱈焼く火は外海の吠える音           森毬子 干し鱈や若狭の寺に人多し           清水縞午 干鱈来る山には山の祝事           中島紺の子 棒鱈を戻す再婚てふ縁           川端こうせゐ 縁は切りたし干鱈は塩の抜け難し           凡鑽 鬱王と名付けて干鱈叩き割る           伊藤映雪 顔のない干鱈と顔のある干鱈           柊琴乃 干鱈てふ全裸より裸な覚悟           赤目作 干鱈噛む承認欲求はくさい           公木正 干鱈裂く吾に由一の画才なし           沼野大統領 干鱈毟る啄木の詩は生臭い           樹海ソース 生き恥は鹹し干鱈を湯にもどす           押見げばげば 『天』 干鱈打つ海風干鱈より重し           夏椿咲く 酒に干鱈 あゝ 嚙み合わぬ結婚観           イサク