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『スモッグ』

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  『スモッグ』 R5.11.24 スモッグの街に十年ガツ炒め           トポル スモッグの予報さておき豚屠る           寺尾当卯 ボイラーの熱スモッグの底の底           みづちみわ スモッグの濃度粘つき出して饐ゆ           古瀬まさあき スモッグへうつぷしけふのごみ渫ふ           麦のパパ 吸へば咳く吐くスモッグに錆ぶる肺           凡鑽 スモッグに影を取られてゐはせぬか           なしむらなし 上告棄却従業員よスモッグよ           司啓 スモッグや透析棟の昼の闇           一走人 スモッグやカナリア色の薬二錠           毬雨水佳 スモッグとピルの偽薬を飲み込む日           中村すじこ スモッグやビル黙祷のごとく佇つ           長谷川水素 スモッグの隅電柱の抱く献花           山本先生 スモッグの役場半旗に影はなき           押見げばげば スモッグの街やへしゃげた紙たばこ           桃園ユキチ スモッグや米軍フェンスの山牛蒡           小型犬 スモッグとテレビの中の戦争と           時小町 R5.12.1 スモッグが立ち尽くす吾に生臭い           みしまはぐし スモッグは濁音集めたやうな色           広島じょーかーず スモッグの街ゆつくりとただれをり           めぐみの樹 スモッグの街に肺より鯘(あざ)れゆく           津島野イリス スモッグの空へ墜落する朝日           ちべた店長 スモッグの染み深きビル解体す           理酔蓮 ビルノ灯ノザラザラスモッグノトウキョウ           緑の手 東京はスモッグ革靴が痛い           横縞 件名はスモッグ上海にゐると言ふ           大山香雪蘭 スモッグのあれは大連からの船           高尾里甫 錫色の真昼よスモッグの北京           にゃん スモッグや爆竹鈍き北京の夜           灰色猫 スモッグに翳る天安門の五星           オルソ スモッグの港ブルース・リーの像           陽光樹 スモッグやコンクリートは死んだ石       

『帰り花』

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  『帰り花』 R5.11.10 帰り花弓道場の的の傍           まるかじり 人生のピークは小五帰り花           あみま たばこ屋の先はどんつき帰り花           クロまま 電線の終はりはいづこ帰り花           北野きのこ 結婚にむかない姉妹帰り花           小藤たみよ 返り花ほどには今も妻のこと           卓鐘 帰り花咲いて辞められない家族           丁鼻トゥエルブ ちょっと違う家族の形帰り花           GONZA 帰り花完治せぬとは聞いている           らん丸 遺言に好きな雲かく帰り花           七瀬ゆきこ 嘶けば雨に打たるゝかへりばな           巴里乃嬬 帰り花眩し初七日慌し           播磨陽子 二度咲きを振り返りゆく喪服かな           水野大雅 帰り花まだ警察は動かない           めろめろ 機動隊本部は静か帰り花           誉茂子 反論は五分帰り花の過失           麦のサワコ 幹にまだ火の痕かへりばな白し           古瀬まさあき R5.11.17 返り花ふるさとといふ箱にゐて           常幸龍BCAD ざんざんと心は無風かえり花           岬ぷるうと 帰り花革命起こしさうな色           よしかわよし 無音より静かに帰り花の咲く           広島じょーかーず 青空の寂しきたひら帰り花           トウ甘藻 帰り花砂場の山の長き影           長月晴日 体罰は痛し帰り花は小さし           松井くろ 心臓は孤高な果実帰り花           安溶二 善なるは土偶の尻や帰り花           駒村タクト 帰り花白し麒麟の目の高さ           ほろよい 忘れ花子兎埋める土黒し           大紀直家 爆心の校門の碑に帰り花           ⑦パパ 返り花石積み上げる儀式かな           細川鮪目 帰り花マトリョーシカに罪はない           里山子 死にぎはのたましひきれいかへり花           矢的 『天』 架けてから決める橋の名帰り花           葉村直 返り花の二グラム熊の二百キロ

漢字シリーズ『皿』

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『皿』 R5.10.27 手の皿を立夏のみづの溢れけり           日永田陽光 大皿に餃子溢れて夏来たる           世良日守 金皿は大人のお皿子供の日           春海凌 黄(ファン)さんが小骨吐き出す皿溽暑           樫の木 皿屋敷お菊明日から夏休み           木村弩凡 原爆忌その日も雨の皿うどん           わおち さはやかや小皿と言へど柿右衛門           彩汀 大皿と自由は厄介檸檬切る           梅うめ子 花串巻く指に冷ややか皿の糊           夏湖乃 赤き皿神に奉じて太神楽           ふなべたたま 縄文の石皿に穴鬼胡桃           Rx 石皿に優しきへこみ櫟の実           青木りんどう 土器皿の焦げ跡ざらり豊の秋           ゆうこ先生 深秋や吸い殻のなき皿へ雨           大津美 灰皿に雨の満ちより白木槿           五味海秀魚 R5.11.3 囀りは軽すぎ皿に載りません           朱鷺9条湯八 紙皿の襞均一に花疲           ギル 紙皿を飛ばし落下は飛花となる           いさな歌鈴 山盛りの灰皿春暁の産声           俳句ファイヤー立志 秋思の男女よ果実の皿真中           あさひ 失恋を見つむる皿のパセリかな           栗田すずさん 秋薔薇や皿は内側より割れる           卓鐘 皿割って円満保っている夜長           あねご ふくろふふくろふ 灰皿は鈍器           いかちゃん 猫皿に虫の右足冬ざるる           どくだみ茶 ペン皿に切手冷たき書斎かな           木染湧水 糸瓜忌の水に飢ゑたる絵具皿           にゃん 教室に啄木鳥皿を投げてやる           りゅうじ 紙皿は割れない金魚鉢は割れる           そう 皿螺子の袋詰めする夜長かな           長月晴日 皿螺子のピッチが合わぬ夜長哉           山尾政弘 『天』 皿ばかり集めて死んで秋の風           亀田荒太 教え・・・どう鑑賞するのが、この句にとって幸福だろうか。受け手が句の味わいを広げていく。(R5.11.2