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『おしあな』

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  『おしあな』 R4.10.14 おしあなのだふだふ来るぞ雨来るぞ           緑の手 五隻目のもやい結びやおしあな来           はぐれ杤餅 おしあなや鉄鎖は太く海の底           木染湧水 造船所がんがんおしあなの日章旗           けーい〇 おしあなにうわんと浮標逆立ちす           遊兎 おしあなや嵌め殺し窓ぶはんぶはん           ピアニッシモ 巌頭は魚鱗のごとしおしあな来           常幸龍 BCAD 月のなき夜やおしあなの匂ひ立つ           イサク おしあなやだいだらぼつちゐたやうな           きとうじん おしあなや潮の匂ひの腫れし脚           麦のパパ 鼠捕り沈めるおしあなの夕闇           藍月 旗といふ巨き鼓膜へ吹くおしあな           ギル おしあな来軍艦島は垂直に           いさな歌鈴 おしあなの吹いて対馬の毛羽立ちぬ           岬ぷるうと R4.10.21 太かとの来つぞておしあなん吠えよる           古賀 おしあなや鶏は怒りの貌 ( かたち ) なる           大黒とむとむ 山羊土を掻く掻くおしあな匂い立つ           澤村 DAZZA おしあなや沖見る猫は髭吹かれ           まどろみ和子 おしあなや総毛立ちたる猫の背な           堀川彗直 おしあなの夜や猫町へ開く鉄扉           ひそか おしあなや廃寺の門の蝶番           オペラ座の俳人 おしあなやルソン訛りの水夫 ( かこ ) 舟子           寺尾当卯 おしあなやカピタン部屋の玻璃哭けり           郡山の白圭 おしあなやオランダ船の開けずの戸           めろめろ おしあなや光を口伝するオラショ           坐花酔月 おしあなに鉄のにおうて受難像           巴里乃嬬 おしあなの番屋に白きマリア像           妹のりこ おしあなや漂着貝の溜まる洞           六星菴 『天』 おしあなや西に押し出す死者の舟

『鰡』

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  『鰡』 R4.9.30 鰡を待つ櫓へ日がな雲の影           樋口滑瓢 上げ潮や舳先に割るる鰡の群れ           竹田むべ 太陽のほくろ数多や鰡跳ばす           水鏡新 鰡が跳ぶ太陽に鰓炙られて           詠頃 鰡跳んで腸少し移動する           ゆうひ 空へ鰡突つ込む海へ戻さるる           ありあり 沈む泥被りて鰡の腹きれい           さくさく作物 鰡跳ねて尻無川の空昏し           中岡秀次 大阪は商人 ( あきんど ) の街鰡跳ぬる           スリーピー 鰡の臭い堤防を越え式場へ           ギル 鯔の吐く音はアルミの匂いして           唐草もみじ 算数のテスト破いた鰡跳んだ           パンの木 鰡提げてみちのく匂う雨を帰る           稲畑とりこ びしよ濡れが聖剣のごと捧ぐ鰡           北野きのこ R4.10.7 鰡の群れ眺むる人に加はりぬ           川岸輪子 鰡は外道そんな綺麗な目をしても           いかちゃん 鰡の顔間近や青年期の終わり           吉行直人 鰡跳ねる喝采のごと嗤うごと           めぐみの樹 栄転と囃されて噛む鰡の臍           仁和田永 鰡は溢れて地銀取り付け騒ぎ           亘航希 鰡跳ぶや川は終局の匂ひ           山内彩月 河臭赤黒しや鰡の首を出刃           でんそ 川はヒトを赦し続けた鰡吐いた           穂積天玲 歪みなき月を眼に鰡跳ねる           なおき 鰡の顎しゃくらせ山幸彦の針           七瀬ゆきこ わだつみの我楽多として跳ねる鯔           世良日守 海神の吐きし光を鰡と呼ぶ           ひそか 鰡跳ねて三百年後ここで会おう           春巻くるん 『天』 鰡飛んで恍惚の腹より落ちぬ           はんばぁぐ