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『小晦日』

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  『小晦日』 R5.12.22 健気なる家電の声や小晦日          中山月波 知らぬ名の判子小晦日の文箱          ヒマラヤ杉 水盤へ松収まりて小晦日          春海のたり 紙といふ親しき凶器小晦日          二重格子 当番医一覧を貼る小晦日          茂木りん 小つごもり錠剤割れば少し跳ぶ          大黒とむとむ 小晦日の当直薬局は静か          あしだはづき 小晦日じんじん結石破砕室          小野更紗 たましひといふ名の電池小晦日          元野おぺら 小晦日さて骨箱の置き所          凡鑽 大窓の余白を雲や小つごもり          樫の木 鳥すいと抜けさうな空小晦日          三月兎 交番にインコの届く小晦日          日土野だんご虫 インコほど頭逆立て小晦日          春巻くるん 小晦日競輪場のヤジ激し          一港 日雇ひのピン札かほる小晦日          坐花酔月 R5.12.29 することもせぬことも減り小晦日          柳絮 小晦日ちりめんじやこの眼の清ら          朝日 鍋底の丸いさざ波小晦日          歯科衛生子 小晦日文具はさみで切る昆布          三緒破子 あと少し海老生かしおく小晦日          GONZA 海老千本仕込む店長小晦日          平良嘉列乙 たつぷりの甘酢へ朝日小晦日          満生あをね 小晦日蒸し器の塔の聳えをり          もりさわ 小晦日もやし売り場のもやしの気持ち          梅うめ子 イオンにて先生に遭う小晦日          ルーミイ 教え子に会う伊勢丹の小晦日          三尺玉子 脱力のできぬマネキン小晦日          綾竹あんどれ 小晦日東京ずつと未完成          さくさく作物 東京を一人小晦日の尿意          古瀬まさあき 鬼北所にぺしゃんこの軽小晦日          天弓 洗車機の豊かなる泡小晦日          星月彩也華 シャンプーの泡よ小晦日の耳裏          吉行直人 『天』 放置せし夢めく埃小晦日          亘航希

カタカナシリーズ『カ』

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  カタカナシリーズ『カ』 R5.12.8 秋晴れやカーシャンプーの泡唄ふ           はなぶさあきら 缶カンに鉛筆一つ冬浅し           小物打楽器 教室はカオス教卓のひまわり           きせき カフカ、カンダタ、カルマ、カリギュラ、カンナまっ赤           一斤染乃 B29過ぎて真つ赤なカンナかな           六星菴 八月を疵つけキツネノカミソリ           冬のおこじょ 綺麗がしごと山王ホテルのカトレア           沼野大統領 カトレアや白きポーンに顔のなき           浦野紗知 過呼吸の夜やカトレアの他人面           岬ぷるうと わが肺に昏き鈴の音花ユッカ           押見げばげば 退屈な私の葬儀カサブランカ           澤村DAZZA 天の川に触れてカナリア恋に落つ           楽花生 ジョーカーの手札に戻り来る夜長           岩のじ 感覚でカンボジア地図描く夜長           せいじ 冬ざれや胃カメラごつごごつご飲む           松田てぃ カニューレを登る血の泡クリスマス           葉村直 ゲルニカの牡牛の眼冬ざるる           三月兎 橋梁の凍結知らすカーラジオ           みのたうろすのさば R5.12.15 カタカナの微かな力み冬に入る           のはあいちこ 文化祭空気のカロリーが高い           吉行直人 カツサンド頬張り休講の櫻           巴里乃嬬 串カツの串踏む処暑の高架下           小野睦 カタカナで通づる英語おでん酒           板柿せっか 獺の祭りほどなるカップ麺           雪代雨子 極楽湯のカツカレーでかい年の夜           西田真優 人参制圧カレーライス無敵           立田鯊夢 カラットカラット龍の玉は無敵           四條たんし ドル高のヘラクレスオオカブトかな           ぞんぬ 雷鳴がきれい東京カテドラル           細川鮪目 カーソルはフリーズロンドンは真冬           人見直樹 初蝶やキッチンカーは空の色           ロンドンベアパディントン 刃毀れのカッターナ