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『鳩吹』

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  『鳩吹』 『鳩吹』 R5.9.15 鳩吹のもうすぐ音となる温み        板柿せっか 鳩吹けば微熱の漏れる指の節        トポル 掌の中の風のみどりご鳩吹けり        矢的 鳩吹くが上手くて人語忘れけり        播磨陽子 鳩吹くや金星丘に縫合痕        伊予素数 鳩吹くや犬の大腿筋太し        桃園ユキチ 鳩吹くや高く売れたる熊の右手        無花果邪無 鳩吹いて栗鼠に揺れをる木のひとつ        留辺蘂子 兵十は鳩吹くごんの山に向き        笑笑 鳩吹の聲は鬼棲む谷ぢやろか        げばげば 寂しさに鳩吹く木の葉天狗かな        ひそか 鳩吹くを真似る木霊のゐさうな樹        多々良海月 鳩吹や山の獣は太つたか        むぎ子 鳩吹や謀りに風臭いだす        三月兎 新しき糞鳩吹きの音高し        織部なつめ 鳩吹いて命もとれば子もあやす        立田鯊夢 鳩吹くもはらわた抜くもこの双手        藤色葉菜 鳩吹くや何でもできる手を恨む        藤田ゆきまち R5.9.22 手は眠る鳩の形に鳩吹けり        比良田トルコ石 心臓の形鳩吹く手の形        岩のじ 鳩吹きを真似てただ祈りの形        富山の露玉 手のひらは欺くかたち鳩を吹く        水須ぽっほ 鳩笛に潜って息は鳩となる        俳句ファイヤー立志 洞にまだ神の温もり鳩吹けり        恵勇 鳩吹や祠の水を換えに行く        澤村DAZZA エントリーシートへ鳩吹と記入        広瀬康 鳩吹けばしづかに青みゆく心        磐田小 心根のあをくなるまで鳩吹く夜        梅うめ子 何気なく鳩吹く諸手寂しき日        三休 鳩吹くや独りと同じ周波数        しるこう 鳩吹ける平方キロの孤独かな        でんそ 鳩吹きの掌少し孤独くさい        沼野大統領 夕星へ鳩吹く指のしほ辛し        山本先生 鳩吹のうまいをとこはでくのぼう        赤尾双葉 鳩笛の名手でありしベッドの手        飯村祐知子 鳩吹いて胸の空洞あたたむる        主藤充子 鳩を吹け汝の言はざる聲聞かむ        蝦夷野ごうがしゃ

カタカナシリーズ『ピ』

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  カタカナシリーズ『ピ』 R5.9.1 押しピンの穴伸びてゐる残暑かな           藤色葉菜 ピカチュウの撃たれまくつてゐる夜店           石井一草 スピーカー爆ぜて夜蝉の退屈な           一笹 ぴゆいぴゆいと笑ふ海豚の鼻の孔           反抗期のコアラ 春風やピリオドがもし種ならば           髙田祥聖 春めくや銀紙ピンと立つケーキ           すずらん 新社員ネクタイピンを褒めてくる           いかちゃん コピー機の体温冬休みの社屋           新樹番人 落花生ハッピーエンドざらざらす           横縞 失恋の夜を星型のピノ涼し           みづちみわ ルピナスや愛を連ねてゆけば歌           秋野しら露 赤き眼のピラニアを飼う梅雨のBAR           樫の木 ピッケルのかたちの墓標あきの雲           深山むらさき 鳥兜愛でる遺品はピンひとつ           三隅涙 パピヨンの骨淡かりし草の絮           長谷川水素 R5.9.8 冷房や恐竜を吊るピアノ線           すりいぴい ピペットに吸ふや試薬と雷鳴と           久保田凡 ピペットの一滴の波秋来る           黒子 秋蝶のそれはピアノのファの#           凡鑽 ピーマンの左心室から青き風           めろめろ ピーマンの中身神様忘れとる           広島じょーかーず ピーマンの茶色の種や裏切りか           蘇我牛子 ピカドンてピーマンみたく軽く言う           らん丸 ピクルスも人も眠つている良夜           浦野紗知 枸杞の実も入れ楊貴妃のピクルスよ           杏乃みずな チンピラめと面罵し食らふ裂膾           白猫のあくび ピッコロはぴぴっぷぽっぽいわし雲           たーとるQ 冬銀河ピッチカートに躓いて           すめば都 おとめ座にスピカがあって白木蓮           蜘蛛の巣絶好調 流星や洗濯物にピルの殻           濃厚エッグタルト 流星や栞代はりの10ルピー           丹波らる ピース嵌めきって未完みたいな月がある